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INTERVIEW - 2016.04.27

「一人じゃないよ」音楽と植樹で被災地を支援する”桜言葉”プロジェクトが繋いだ仙台と目黒。

​早くも発生から5年が過ぎた東日本大震災。自分に可能な支援は何なのか、葛藤したクリエイターは多いはずです。シンガーソングライターの「荒尾のりこ」さんもその一人。震災発生時は東京にいた荒尾さんですが、精神的には「自分も被災したようなもの」だったといいます。パニックになった、という彼女がとった行動は、10日ほど夜も寝ないで音楽を作ること。そうして完成した曲が「桜言葉」でした。

早くも発生から5年が過ぎた東日本大震災。自分に可能な支援は何なのか、葛藤したクリエイターは多いはずです。シンガーソングライターの「荒尾のりこ」さんもその一人。震災発生時は東京にいた荒尾さんですが、精神的には「自分も被災したようなもの」だったといいます。パニックになった、という彼女がとった行動は、10日ほど夜も寝ないで音楽を作ること。そうして完成した曲が「桜言葉」でした。

この曲がきっかけで、桜の植樹という復興支援活動にも携わることになった荒尾さん。植樹のための資金は、クラウドファンディングで募集しました。その経緯や今後の活動についてお話しいただきました。

一人で歌うより、みんなで歌ったほうがパワーになる


Sing!恵比寿の一コマ

―― まず自己紹介を兼ねて、シンガーソングライターとしてどのような活動をされているのか教えて下さい。

荒尾:19歳まで長野に住んでいたのですが、それからはずっと東京にいます。肩書はシンガーソングライターですが、ボイストレーナーなどの講師もしています。あとは、クワイヤーディレクター。聞きなれない言葉かもしれませんが、合唱プロジェクトのディレクターだと思っていただけば良いかもしれません。

―― 具体的にはどのようなことをされるのでしょうか。

荒尾:私は「Sing!恵比寿」という合唱プロジェクトの講師をしているのですが、Sing!恵比寿 では、「お客さま参加型ステージ」というのを得意としています。

具体的には、イベントなどで、年齢・性別・国籍・プロ・アマチュア…すべての壁を越えて、みんなが一緒に歌えるようにアレンジされたポピュラーな楽曲を、会場にいる人たちみんなに向けて その場でレッスンをして、最後には ステージ・客席 関係なく、会場が一体になって大合唱するんです。簡単なハーモニーや振り付けをその場で覚えてもらってやってもらいます。けっこう無茶振りしますけど、盛り上がるし楽しいですよ。みんな観るだけじゃなくて参加したいんだと思います。そういったイベントのファシリテーター、言うならば「ノリノリ推進係」が、私のお役目です。

「桜言葉」も、自分一人で歌うよりも、みんなで歌うほうがパワーになると思うんですよ。仙台でもパリの復興イベントでも、そうやって歌いました。

音楽を通じた支援活動は、気づいたら動き出していた

☆恵比寿トモダチ作戦(エビトモ)の様子

―― 震災直後はどのようなことを感じましたか。

荒尾:これはただことじゃないと思いました。当時子供が小学生になったくらいで、学童にいたので小学校に走って行って。自分もパニックになっていたと思います。夜も寝ないで曲を作り続けてしまっていました。10日くらいは、いつ寝たり起きたりしたのか記憶がないくらいです。気づいたらできていたのが「桜言葉」でした。YouTubeにひっそりアップしたら、そこから少しずつ反響が広がっていきました。

―― 他にはどんな支援活動をされていたのですか。

荒尾:いくつかあったのですが「恵比寿トモダチ作戦(エビトモ)」もその一つです。ミュージシャンや飲食店の従業員、セラピスト、自転車屋さんなどがメンバーです。私がライブをやって、BMXライダーの人がパフォーマンスして、あとはチャリティーマッサージ。氷川神社でも3回、チャリティイベントを開催しました。渋谷区に断られたので、住職さんに頼んだらOKが出たんです(笑)。飲食店でも開催したのですが、20人くらいしか入らない。外なら200人くらい一気に人を呼べるので。町内会も椅子やテントを貸してくれて、みんなが協力してくれました。

―― そういったライブは何回くらい開催されたのですか。

荒尾:7回だったと思います。1、2回目が友人のお店、3、4回目は南青山のクラブ、5、6回目が氷川神社。7回目が縮小して近所のカフェで開催しました。ライブとトークがメインで、7回で70~80万を寄付に充てることができました。

―― ずっと支援活動をされてきたのですね。「桜言葉」についてもう少し詳しく教えて下さい。

荒尾:YouTubeがきっかけで「3.11の黙とうの前後に桜言葉を歌ってほしい」というオファーをいただきました。2012年に、現地で歌いました。仙台で、これまでにもう3回になります。声をかけていただいたのが、現地で植樹活動をしている「桜並木ネットワーク」さんでした。

クラウドファンディングなら「1回で集められる」と言われたが

―― なぜクラウドファンディングに興味を持ったのですか。

荒尾:チャリティイベントの場合、7回やって70~80万円と結構大変です。その点クラウドファンディングなら「1回で集められるよ」と他の支援活動をしている方に言われて。その方はファッションプロデューサーをされていて、広島で土砂崩れが起こった時にクラウドファンディングでチャリティブレスレットの制作資金を募って、支援をされたんですよね。でも、実際やってみたら大変でした(笑)。

―― どんなところが大変でしたか。

荒尾:プロジェクトの説明文の書き方などでしょうか。自分のCDをリターンに付けていたのですが、書き方を間違えると宣伝に見えてしまいます。モーションギャラリーさんからも何度か書き直しが入りました。すでに出来上がっている「桜言葉」を使って、もちろんその曲も広まってほしいけど、それによって支援活動自体が広まってほしい――。そう書いたつもりだったけど、それでも誤解はありましたね。

でも直接嫌なことを言われたことはありませんでした。急にやりだしたことじゃなくて、東京でイベントを開いたり、被災地にずっと通ったりしているのを知っていて下さる方達がいたから。ソロでも通って歌っていましたし、現地のジャズイベントなどにも出演していました。そこでも「桜言葉」を歌っていたので「桜の植樹」という活動にもつながったのだと思います。

―― 個人でもかなりの活動をされていますね。

荒尾:そうですね。やるだけのことをやってきたけど集大成として、このプロジェクトをやりました。募金といえば募金箱にチャリン、だと思っている人も多かったので、クラウドファンディングが浸透してきたとはいえ、当初の認知度は低かったです。フェイスブック友達に一人ひとりメッセージしたりとか、友達がイベント組んでくれたりとか。そういった地道な活動から、資金が少しずつ集まっていきました。

―― クラウドファンディングは楽をして集められる、という印象もあるようですが…。

荒尾:ずっと家でやることはできますが、逆にずっと家にいるだけの人には実際は厳しいのではないでしょうか。仲間がすごくいっぱいいたので、フェイスブックのメッセージでお願いしてもほとんど返信が来ました。そして多くの人が応援してくれました。そして「こういう機会を与えてくれてありがとう」と言ってくれる人が多かったです。応援しています、だけじゃなくて「ありがとう」という言葉が多かったのが印象的でした。

自分の音楽で、人を励ますことができた

―― プロジェクトを達成して良かったことを教えて下さい。

荒尾:現地で知り合った60~70歳くらいのおばちゃんがいるんです。津波で大切な人を亡くしたそうで、初めにお会いした時、庭はまだ瓦礫だらけでした。そこに(クラウドファンディングで集まったお金で)自分達が桜を植えたら、やがて花壇ができて畑ができて、庭がどんどん芸術作品のようになって。訪ねていくたびに、笑顔が増えるんです。そのおばちゃんはもともとは庭いじりが好きだったそうなのですが、いつの間にか再開していたんです。それ以来、何度も手描きの絵葉書を送ってくれて、やり取りをしています。

――本当に、絵葉書の絵もどんどん植物が増えて、カラフルになってきていますね。

荒尾:そうでしょう?ずっと音楽をやっているので、歌って、ちょっと拍手もらったりするとうれしいですよ、もちろん。それが仕事ですし、いつもそう。でもだから何?となってきてしまうこともあるんです。特に今回のような大災害の時などはなおさらです。

こういうはがきなどが生まれていくっていうことは、音楽で長く活動していてもなかなかないことです。自分の音楽はこういう役にも立てるんだということを教えてもらったのが、この活動をして一番良かったことでした。

―― 今後はどんな活動をされたいですか。

荒尾:「音楽で人を励ますことができる」と知ってしまったので、これからもそういう活動をしていきたいです。また春には、東北に桜を見に行きたいですね。

東北まではそんなに頻繁には行けないし、支援してくれた人たちの中には私以上に行けない人もいる。この桜の植樹は10年プロジェクトなので、目黒不動尊をアンカーにして、そこにも1本植えました。そこなら、東京の人も行きやすいですから。石板があって、そこに「一人じゃないよ」と刻んであるんです。

でも、また春には、東北に桜を見に行きたいですね。

<UPDATE#11 [”桜言葉”プロジェクト、みなさまの想いをカタチにして来ました!!]から>

作品情報

『桜言葉』
〜君の未来に花を咲かせてほしい〜
これからを生きていく全ての人に届けたい、優しくそして心強いメッセージソング。
http://eclipsemusic.theshop.jp/items/348016

1. 桜言葉
2. 桜言葉 ~合唱Version~
3. 再生
4. 桜言葉 (Instrumental)
5. 桜言葉 ~合唱Version~ (Instrumental)

作詞・作曲:荒尾のりこ
編曲:荒尾のりこ with Support Musicians

¥1.200 (TAX IN)

■このCDの制作費を除く売り上げの一部を、東日本大震災の復興支援の為に使い「続け」ます。

■"桜言葉"をイベントなどで歌いたい方々や、一緒に歌ってくださる合唱団(ジュニア~シニアまで)などを幅広く募集しています。歌が好きな方々なら合唱経験は問いません。ご希望であれば、荒尾のりこがアナタの街へ直接レッスンに伺うことも可能です。
エクリプス・ミュージック eclipse.music.jpn@gmail.com まで、お気軽にお問い合わせください。※申し訳ありませんが、現在個人レッスンは承っておりません。

■CDの中に同封されている花びらカードに"桜言葉"に寄せてのメッセージを書いて、是非カードに記載されている住所までお送りください。みなさまから寄せられたカードを集めて、大きな桜の木の作品を作りたいと思っています。


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この記事を書いた人

MotionGallery編集部

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