建築が表現するSEW STAYの世界【メンバー紹介~その3~】
vol. 5 2024-07-20 0
目標まで残り6%となりました!
ご支援いただいた方ありがとうございます!
目標達成はもちろん、次のゴールを設定しようと思っていますので、更なる拡散をよろしくお願いいたします!!
さて、今日のメンバー紹介は設計を担当したBrain Sauce Studioのお二人です。
謎多き彼らがSEWで何を感じ、どんなことを考えてきたのか、SEW STAYの独特の建築設計に至ったストーリーをお楽しみください!
そしてなにより、彼らの、私たちの想いの詰まったSEW STAYを体感しに来てください!!!
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Brain Sauce Studio
Brain:石田雄琉
・経歴
2021 京都造形芸術大学 芸術学部環境デザイン学科 卒業
2021- SANAA事務所
2024- BrainSauceStudio
Sauce:房川修英
・経歴
2020-EUGENE Studio
2024-BrainSauceStudio
●Brain Sauce Studio のSauceです。
クラウドファウンディングも残りわずかになりましたが、建築設計での思い出話を少ししようと思います。
2024年12月10日、SEWのディレクターである坂東くんから「宿の建築設計をやらないか」と連絡が来た日のことは良くも悪くも今でも忘れません笑
70年以上続く縫製工場の新規事業であることと、『都市縫製』という魅力的なブランドコンセプトで瞬時にイメージが膨らみ、いてもたってもいられなくなったのをよく覚えています。
とはいえ、一棟貸しの古民家を2軒同時に設計するというかなりタイトなスケジュールで変な汗をかいたのもよく覚えています。
そんな中たまたま、某有名設計事務所を離れた後輩に一緒に設計をして欲しいとお願いしたのが石田です。彼は建築設計はもちろん都市や文化的背景など、かなり大きな視点、目に見えない視点を持ち合わせていて、僕とは物事を見つめる視線が全く異なるということと、『都市縫製』を建築で実行するには彼の存在がベストだと確信していました。
かなり圧縮した時間を2人で過ごしたのですが、図面を持ち歩いて、太陽に透かしてみたり図面を重ねて穴を開けたり、ひたすらメモを書き留めて黙々と図面に反映するの繰り返しでした。
コンセプトで殴り合うというか、どちらが確信に近い言語化ができるかという静かな戦の積み重ねで密度を高めていくスタイルが生まれたのですがその時、お互いの意見が違う視点から合致する奇妙なタイミングがあり脳みそから汁っぽいものが出るのがわかるんですよね。
その時Brain Sauce Studioというユニットが爆誕しました。僕らの存在はちょうど爆誕時に食べていた『洋食セット味噌汁、紅茶orコーヒー付き』のような存在です。
●Brain Sauce StudioのBrainです。
実際に、福井センイさんの工場で様々な現状をポジティブに変えていきたいという菅原さんの強い思いを聞いて、とても共感したことをずっと覚えています。
業界全体が抱えている途方もない大きな課題に私たち小さな個人はどうやって戦えるのかを私たちはSEWのプロジェクトがその一つの答えになるといいなと考えてきました。
そのために、まずは今立っている環境を認めるところから始めるべきではないのではないか、流行を追いかけ、新しく何か作るということではない別の答えがないか。
目の前には大きな海と山という地形が作り出すおおらかな風景、豊かな漁業産業、場所を再発見していくための歴史。
全てどこにもないオリジナルのステータスと考えることはできないだろうか。
流行を追いかけ華美な装飾を使うということではなく、今目の前にあるものを大切に活かし場所の風景や体験を発見することがSEW STAYでの達成すべき目標なのかもしれません。
これからみなさまと一緒に古くて新しいこの舞鶴の風景を共に眺めていけることを願っています。
●Brain Sauce Studioから、簡単な建築テキストを
既存建築の古い情報をどのように残し、いかにして新しい空間と結びつけることができるかということを考えてきたように思います。
私たちが生まれ育ってきた環境(=空間)はどこに行っても新しい素材・均一で概ね同じ空間で囲まれています。
こうしている今もなお、私達が知らないところで開発は進み、都市空間は更新され続けています。
高度経済成長期によって、資本主義的考え方が優勢になり新しいものやとにかく大きいものこそ正義なのだと言わんばかりに変わっていく都市風景をみていると、
そこにあった場所の記憶や個人的な感情など不要なのだと言われている気すらします。
資本をたくさん使って建物が大きくて目立つことが一種のステータスになっていたり、誰もが知っている都心に住むことや生活することが人としての価値基準になっていることに私たちは疑問を感じています。
SEWのプロジェクトがその答えの一つになるよう考えてきました。
目の前には大きな海と山という地形が作り出すおおらかな風景、豊かな漁業産業、場所を再発見していくための歴史。
全てどの都市にもないオリジナルのステータスと考えることはできないでしょうか。
何かを新しく大きく作るという想像から、現状を大切に活かし場所の風景・歴史を再評価することが建築の働きなのかもしれません。
そう考えた途端、資本主義におけるどこでも同じようなものが作れることや均一で新しい素材で作るということ、空間を覆い隠し、高層マンションで埋め尽くすことの価値がガラッと逆転して、既存の古い状態や過去に使われた痕跡を残すということに価値基準が置かれ、綺麗だから良くて汚いから悪いといった二元論的判断がなくなり世界がより伸びやかに自由の空気を帯びることになると信じています。
そして、生まれたてのユニットBrain Sauce Studioのコンセプト、設計意図を理解し、同じ熱量、それ以上でずっと並走してくれていた菅原さんご夫妻には本当に感謝申し上げます。
現在クラウドファウンディングの返礼品をかねてSEWの建築についてのBOOKを作成しています。建築テキストを購入してくださった方には、製本したBOOKをいつかお届けできると良いなと思っています(未定ですが)。
その冊子では都市縫製をいかに建築で体現しているか、新旧入り混じるディテールの解像度を深め、昔の情報の答え合わせのような、本という違う媒体でもう一回この建築を構成し直したい。と考えています。
出来上がったBOOKを持って宿泊することで、より建物と舞鶴の空気と一体化するような空間体験を用意できればと思っています。
ついつい長くなってしまいましたが、ぜひ舞鶴の空気、食事、建築で皆さんのお腹を満たされることを願っています。