この場所をつくる人|Vol.8 原田恵 ― PRE SEE/SOWを振り返る
vol. 25 2026-04-03 0
こんにちは。SOWの原田です。
クラウドファンディングも、多くの方に応援いただき、本当にありがとうございます。
少しずつですが、SEE/SOWのオープンに向けた準備も進んできています。
このアップデートでは、応援メッセージのご紹介に加えて、これまでの活動や、私たちが考えていることについても、少しずつお届けしています。
今回はそのひとつとして、私原田から、1月から3月にかけて開催してきた「PRE SEE/SOW」の振り返りをしてみたいと思います。
これから始まる場所の手前で、どんな時間が流れていたのか。
その空気を、少しでも感じてもらえたら嬉しいです。
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PRE SEE/SOWを振り返る / 場が立ち上がっていく3ヶ月
2026年に入り、3ヶ月にわたって開催してきた「PRE SEE/SOW」。
SEE/SOWのオープンに向けて、トーク、ワークショップ、展示、カフェなど、プレイベントとして、さまざまな試みを重ねてきました。
今回は、その時間を写真とともに振り返ってみたいと思います。
なお、今回ご紹介する写真は、すべてカメラマン・鈴木ヨシアキさんに撮影していただきました。
空気が感じられる素敵な写真を、本当にありがとうございます!
■ トークイベント「常盤平アート座談会」
第1回「松戸・常盤平を読み解く――アートプロジェクトの土壌」
|これまでを知ること、でも縛られないこと
松戸のアートシーンに長く関わってきたおふたりに、これまでの歩みを振り返ってもらいました。
私たちの知らなかったことも多く、参加者の方からも、これまでの活動についてたくさんの話を聞くことができました。
その中で印象に残っているのが、「今までを踏まえなくてもいいんじゃない?」という言葉。
文脈を知ることは大切。でも、それに縛られる必要はない。
過去へのリスペクトと、自分たちの実践は、別のものとして考えていいのかもしれない。
この街や松戸には、これまで積み重ねてきた人たちの時間があります。
そこに対して、自分たちはどうやっていけるのか。
少し気負っていた自分にとって、その言葉は強く残るものになりました。
左から、第1回のゲスト大成哲雄さん(聖徳大学教授)、森純平さん(PARADISE AIR)。
常盤平のまちあるきツアーも行いました。この日は本当に寒かった…!
第2回「遊びで読み解く常盤平――場のデザインと創造性」
|「遊び」から考える、これからのこと
建築や演劇の分野からアートプロジェクトに関わるおふたりを迎え、常盤平という街と、そこから生まれうる出来事を「遊び」というキーワードから考えました。
街の成り立ちや背景にある思想を知ることと、そこに「遊び」という視点を持ち込むこと。
これから自分たちが何を起こしていくのか、どんな人と関わっていくのか。
そのヒントと同時に、たくさんの“宿題”をもらった回だったように思います。
右から、第2回のゲスト、阿部健一さん(ドラマトゥルク・地域計画研究者)、桂川大さん(STUDIO大、おどり場代表)。
この回のまちあるきでは、常盤平団地の中にあるユニークな遊具などを見て回りました。
第3回「シン・常盤平アートプロジェクト(仮)」
|一緒に考えるということ
これまでのPRE SEE/SOWを振り返りながら、参加してくれた方々と一緒に、「常盤平でどんなアートプロジェクトができるか?」を考えました。
ここに集まった人とともに考える、ということ自体が初めての試みでしたが、そうした場をこれからつくっていけるかもしれない、という手応えも感じる時間でした。
同時に、本当にさまざまな人が集まり、視点も言葉もそれぞれに違うことも、改めて実感しました。
けれども、その違いこそが、SEE/SOWで大切にしていきたいことなのだと思っています。
参加者の皆さんと3つのグループを作り、それぞれのグループで考えたアイデアを発表しました。
■ カフェ「SOWキッチン」
各トークイベントの後には、カフェを開きました。
コーヒーや飲み物が一杯あるだけで、場の雰囲気は大きく変わります。
立ち話だったり、床に座ってお茶を飲んだり。少しずつ、空気がほどけていくような時間でした。
その様子を見ながら、一緒におしゃべりをしていると、ふと、なんだか家みたいだなと思ったこともありました。
肩肘張らずにいられる、少しゆるい場。
”文化拠点”というと、どこか高尚で、少し硬い響きもあるかもしれません。
でも、もっと緩やかに人が出入りできる時間や場があってもいい。
こういう時間をつくりたくて、キッチンをつくろうとしているんだなと、改めて感じました。
■ ワークショップ「SEE/SOWアートラボ」
ときわえんげきクラブ
会期中に2回開催した「ときわえんげきクラブ」。
子どもたちのパワーに圧倒されながら、時に遊んだり、表現する時間をとったり。
少しずつ常連の方も増えてきました。
ここで大事にしているのは、「表現したい」「やってみたい」という気持ち。
いわゆる技術の向上よりも、その人の中にあるものに目を向けることを大切にしています。
大人が本気で鬼ごっこをして、息が上がっていたりもしますが、そういう時間も含めて、この場の一部になっている気がしています。
走り回ったり、体を動かすことが好きな子も多く、大人たちはついていくのがやっとだったりします。
第1回の最後は、自分で舞台の小道具を作って発表しました。
「ふたフィギュアを作ろう〜お雛さま編〜」
耐熱原人バァサスさんをお迎えして、グルーガンでオリジナルのフィギュアを制作しました。
大人も子どもも、驚くほど真剣で、特に大人が本気で向き合っていたのが印象的でした。
無心になって手を動かす時間。
そこでは、大人も子どももあまり関係なくなっていた気がします。
耐熱原人バァサスの3人。常盤平に拠点を構える、ご近所さんでもあります。
参加者みんなが作った、色とりどりのふたフィギュア。
■ 展示「コエ・カタチ“のつづき”展」
2024年に開催した「ときわ平のコエ・カタチ」の写真展示を行いました。
外からも見えるようにし、通りがかりの方にも開かれた形にしました。
実際に、お年寄りや犬の散歩中の方、通りすがりの人など、さまざまな人が足を止めて見ている様子がありました。
予約が必要なコンテンツも多い中で、実はこの展示が一番、街との接点を生んでいたのかもしれません。
こうした“窓”のような開き方も、これから大切にしていきたいと感じています。
カメラマン・川島彩水さんの写真を、定期的に貼り替えて展示しました。
■ 3ヶ月を振り返って
ありきたりな言い方かもしれませんが、この場所の可能性を、改めて感じた3ヶ月でした。
空間の使い方だけでなく、どんな人が集まり、どんな空気が生まれるのか。
それを実際に体感できたことは、とても大きかったと思います。
同時に、この場を肯定的に受け取る人もいれば、そうでない人もいる。
そうした状態もまた、健全なものだと感じています。
ただ、それを本当に受け止められるかどうかは、自分自身や私たちの課題でもある。
そんな当たり前のことにも、改めて向き合う時間でした。
オープン前から、すでにたくさんの方が関わってくれたこと、そして今も関わってくださっていることが、とても嬉しいです。
この場所がこれからどうなっていくのか、正直まだわからないけれど、きっと面白くなっていく。
そんな実感を得られた日々でした。
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