鈴木拓也(レティクル座)のZANNEN座稽古場レポート
vol. 16 2023-05-22 0
レティクル座の鈴木さんにZANNEN座の衣装付き通しを見学して頂きレポートを送って頂きました!
銀行員1・2・3のトリオを演じるのはZANNEN座の劇団員3名。
横並びになった時の、3人のサイズ感が絶妙にしっくりくる。
これぞ古き良き「3人組」の収まりの良さだ。もう面白い雰囲気がする。
これから始まる「防犯訓練」を前に、あれやこれやと想像を膨らませる銀行員達はワクワクを抑えきれない様子だ。
ZANNEN座の劇団員3名での台詞の掛け合いは、キャラも立っていて息ピッタリで小気味良い。
次に登場するのは支店長を演じる三井さん。
ダークブルーの三つ揃いのスーツ姿でピシッと登場するのだが、うっすら漂うクセモノ臭。
作中において支店長は狂言回しの役割を担うのだが、三井さんの演じる支店長ならば安心感がある。
あと声がめちゃくちゃ良いので「いらっしゃいませ」の台詞のねっとりした感じが凄く良い。シャドーボクシングをするシーンも必見だ。
そして来ました強盗2人組。
強盗1の鷲見さんと強盗2のとみおかさんのペアが「コレジャナイ」感満載の襲撃を見せる。強盗2人組も相当に緊張しているようだ。
鷲見さんの強盗1は例えるならば森のクマさん。
強盗2のとみおかさんからは蒲田行進曲のヤスっぽさを感じる。
このシーンではどちらも不器用さがなんだか微笑ましい。
拍子抜けの防犯訓練に不満たらたらの銀行員達のもとに飛び込んで来るのは一組のカップル。
シンプルな服装で男(タケシ)を演じる山口さんと、対照的に目がチカチカする服を着て女(ジュンコ)を演じる冨田さん。
なんだかズレてて大人しいタケシと、服装に負けず劣らず強烈なキャラのジュンコ。
この2人は本当にカップルなのか?
何やら複雑な馴れ初めがありそうに思えるが、真相は意外にもシンプルなのかもしれない。
男女の縁とは不思議なものである。
かくして登場人物が勢揃いし、もっと「良い」防犯訓練を目指す人々の欲望や思惑が交錯した結果、物語は制御不能なところまでエスカレートして行くのだったーーー。
と、あらすじをなぞりつつZANNEN座チームの所感を書いてみました。
各シーンに見所が満載なのですが、ネタバレにも注意しなければいけないので、序盤までの紹介でご容赦下さい。
ここからもっともっと登場人物達の想像力が暴走していきます。
ZANNEN座チームの作品には根源的な「演じる楽しさ」が強く表現されています。
役者が持ち込んだアイディアなのか、鵜濱さんの演出手腕によるものかは分からないのですが、良い塩梅の「メタ演技」が各所に散りばめられているなと感じました。
そして、ZANNEN座さんの通し稽古を見て強く思った事は、レティクル座と解釈が違う所がかなりあるという事です。
同じ戯曲を使用しているハズなのに、こんなにも毛色の違う作品に仕上がってくるとは、予想はしていましたが予想を大きく上回ってきました。
今回の合同公演の最大の強みは、相手チームの作品から刺激を受けられる所だなぁとしみじみ思いました。
お客さまに置かれましても、どうかZANNEN座チームとレティクル座チーム、両方観て頂く事をお勧めします。
本当に、10倍ぐらい楽しんでいただけます。
【レティクル座 鈴木拓也】
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