建築家の安藤忠雄さんから応援メッセージをいただきました!
vol. 3 2023-08-08 0
応援メッセージ、ありがとうございます!
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応援メッセージ
安藤忠雄さん 建築家
山と海が近接し、少し歩けば美術館や博物館が点在する――神戸の街は、生活環境としては日本一の街だと思っています。とりわけ元町の旧居留地や、北野の異人館周辺は、世界でもまれにみる美しい街並みを誇っています。港町ということもあり、様々な異文化が混在しながら、全体として一つの街並みを形成しているのも魅力の一つです。しかし神戸の街はその魅力を十分に発信出来ていないのではないかと常々考えていました。
1868年の開港以来、輸入港として発展を遂げてきた神戸は、オリエンタルホテルのカレーや、フロインドリーフのパンなどに代表されるように、西洋の文化がしっかりと街に息づき、モダン都市としての基礎を築きあげてきました。建築においても、京都や大阪とはまた違う、独自の文化が根付いています。例えば明治以降、海外から住み着いた実業家たちが、自国の生活習慣を取り入れながら建てた北野町の異人館は、日本人の伝統技術と西洋的感性との葛藤の中で生まれたからこそ、「ここにしかない」独特な魅力を持つに到っています。
「神戸モダン建築祭」は、こうした神戸の街の魅力を、建築という観点から再発見し、広く発信するという意味で大きな可能性を持ったイベントだと思います。壊滅的な被害を受けたあの震災からもうすぐ30年。人々の頑張りによって復興を成し遂げ、美しい街並を取り戻した神戸のまちを、一人でも多くの方々に見て頂くためにも、イベントの成功を期待しています。
安藤忠雄さん 1941年大阪生まれ。独学で建築を学び、1969年安藤忠雄建築研究所設立。代表作に「光の教会」、「ピューリッツァー美術館」、「地中美術館」、「上海保利大劇院」、「こども本の森 中之島」、「ブルス・ドゥ・コメルス/ピノー・コレクション」など。1979年「住吉の長屋」で日本建築学会賞、1993年日本芸術院賞、1995年プリツカー賞、2005年国際建築家連合(UIA) ゴールドメダル、2010年文化勲章、2013年フランス芸術文化勲章コマンドゥール、2015年イタリアの星勲章グランデ・ウフィチャ―レ章、2021年フランスレジオン・ドヌール勲章コマンドゥールなど。イェール、コロンビア、ハーバード大学の客員教授歴任。1997年から東京大学教授、現在、名誉教授。 撮影:閑野欣次 |