寄稿『上から目線の福祉とか超えていこ』NPO法人風雷社中 中村和利
vol. 20 2019-08-07 0
【アンチ感動ポルノ】障害と健常のあいだを描く ドキュメンタリー『ラプソディオブ colors』完成・公開をご支援ください。
NPO法人風雷社中も深く関わってきたTransitYardとTransitCafe-Colours、そして、そこに関わる多彩な人たちがドキュメンタリー映画になります。
TransitYardは5年前に重度知的障害のある青年が自立生活(ケア付き一人暮らし)をするために風雷社中が設置したシェアハウス&イベントスペース。
1階のイベントスペース「TransitCafe-Colours」は、風雷社中と様々な連携をしているバリアフリー社会人サークルColoursが運営を担い、障害の有無を問わずにだれでも楽しめるイベントを企画開催してきました。2階3階はシェアハウスとして、3階に重度知的障害のある青年げんちゃんが暮らし、2階は一般(なにを持って一般と言うかはさておき)の人が暮らしていました。
「TransitCafe-Colours」を軸としてバリアフリー社会人サークルColoursは、様々なバリアのないイベントをしてきたことによって、集まる人たちは障害のある人が過半数。しかし、Coloursは障害者を集めた「障害者の居場所」ではなく、障害のある人を排除するバリアを出来るだけ減らした「だれでも集まれる、楽しめる場所」だったのです。
そこでは障害の有無にかかわらず、来る人とは、皆対等な立場でイベントを一緒に楽しむのです。
このドキュメンタリー映画は、障害者を特別な存在(障害のない自分とは違う存在)とすることで、障害者を差別の対象として強化していく、障害者感動物語(感動ポルノ)へのゆるやかなカウンターを狙っています。
障害者:健常者、または障害者:支援者って人をカテゴリすることがナンセンスで、くそつまらない、差別を煽る愚行でしかいってことを、ごちゃまぜで、カラフルで、ボーダレスな人たちを描くことで伝えていく作品になると考えています。
この映画を作製する佐藤隆之さん(撮影、監督、製作)は、前作である「カピウとアパッポ アイヌの姉妹の物語」のパンフレットの中で語っている。
それは「民族」の括りを超えた「ニンゲン」としての普遍性を描くことになるであろう。
また近年、マイノリティヘイトの一環としてアイヌ民族否定論が台頭し、
一部で激しい論争が起きたことも記憶に新しい。
本作品を「否定論」に対しての「やわらかな反論」ともしたい。
※kapiwとapappo〜アイヌの姉妹の物語〜より引用
この前作のTransitCafe-colorsでの上映 会がキッカケで、佐藤さんは、colorsに関わる多彩な人たちをカメラで追いかけ始めました。
そして、今作品でも前作「カピウとアパッポ アイヌの姉妹の物語」と同様に、「ニンゲン」が描かれていくのではないだろうか。
『ラプソディオブ colors』クラウドファンディングの中で、更に佐藤さんは語っています。
そこには清濁併せもった、矛盾に満ちた、生々しいニンゲンの生がありました。
そして、そこになかったのは、【障害者・健常者】と分けて隔てる壁です。
今では、私自身も含めて誰もが複雑なグラデーションのなかにいると思えます。
【すべての人をありのままに肯定するニンゲン讃歌】
去年の5月から撮り始めた映像を、そんな映画にしたいと思っています。
できれば明るくポジティブに。
できるだけキュートに。
是非、みなさんの力で、福祉や支援なんて上から目線の綺麗事とは関係ない、この映画を成立させてください。
NPO法人風雷社中 理事長 中村和利