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INTERVIEW - 2017.07.14

乾物はこれからの地球を支える「未来食」。サステイナブルな社会に向けてみんなの力を結集したい。

煮物の主役級の干し椎茸から、毎日のお味噌汁に欠かせないわかめ、色とりどりのドライフルーツ。MotionGalleryでは乾物に関する本を作るプロジェクトを掲載中です。これは誰でも興味がある授業をとって学ぶことができる「自由大学」で人気の乾物をテーマにした講義「乾物のある生活」の卒業生がそれぞれのページを担当し本を作るというもの。講義の教授を務め、「DRY & PEACE」プロジェクトを主催するサカイ優佳子さんと田平恵美さんにお話を聞いてみました。

このプロジェクトのもとになった、自由大学の講義はどんなものだったのでしょうか。

サカイ「参加してくれる人は30代の働く女性が中心ですが、実は男性の参加もほぼ毎回あります。忙しい暮らしの中、一度自分の食を見直したいと参加される方が多いように思います。
乾物とは何かに始まり、乾物という考え方の未来性、社会的意義についてを初回できっちりお話すると、乾物に対する見方が大きく変わる方が多いのです。」

田平「その後、野菜や果物、豆、穀物、海藻類など、各回、乾物の実物を見ていただきながらその知識をお伝えし、世界の料理の手法を取り入れて作る乾物料理のデモンストレーションと試食を行います。毎週宿題もあり、参加者同士でもFacebookグループ内で活発なやりとりが見られます。日々の暮らしの中に無理なく乾物を組み込めるような仕掛けを私たちなりに考えて、5週間にわたる講義を組み立てています。」

お二人の出会いを伺うと、もともと職場の同僚だったのだとか。お子さんのフードアレルギーをきっかけにサカイさんが料理教室を始めたことが、後の食育活動につながりました。やがてそれに田平さんが加わって、2002年に食から社会を見ることを重視した「食の探偵団」という食育プログラムを立ちあげます。そして、ひょんなことから乾物に出会うことになります。

田平「ある日、ふと立ち寄った南米の食材店でじゃがいもの乾物を見つけたんです。そういえばじゃがいもの乾物って見たことがなかったなぁと思い、すぐに(サカイさんに)知らせました。」

サカイ「それをきっかけに乾物に興味を持っていくといろいろなことがわかってきたんです。例えば乾物にすると軽くなるので流通が簡単になることや、地域によって親しまれている乾物が違うことなど、いろいろな発見をしました。」

田平「例えば、きくらげなんて中国の食材なのに私たちが子供の頃からありましたよね。きっと流通や保存のコストが少ない乾物だからできたことなんだと思うんです。」

大震災の時も、乾物の棚にはちゃんと在庫があった。


もともと研究熱心なお二人の性格もあって、興味をもった乾物の世界にどっぷりとはまってきた頃。東日本大震災も活動に拍車をかけました。

サカイ「計画停電で、冷蔵庫が使えなかったんです。『それなら乾物を使おう』とスーパーに出向いてみると、他の食材は品薄になっているのに乾物の棚は在庫がいっぱい。それなのに、誰も乾物の棚には見向きもしていなかったんですよ。ふだんから乾物を使っていないと、いざという時に使うことができないんですね。これはやってみる価値があるぞと思いました。」

乾物はこれからの地球を支える「未来食」

お二人によれば、乾物にはマイナスの先入観を持っている人も多いけれど、それは間違っているのだそう。

サカイ「乾物に関するマイナスの先入観は、醤油味の煮物ばかり、地味、面倒くさそう、という3つです。でも、8割の乾物は20分で戻るし、和食以外にももちろん使えるんです。」

田平「軽いので輸送の際の燃費も抑えられ、CO2削減にもつながります。常温で保存ができるので、フードロスを減らせるし、もしもに備えて備蓄しておくことも可能です。」

サカイ「だから私たちは、乾物を未来食だと言っているんです。」

現在クラウドファンディングは順調にスタートし、順調に支援を集めています。
最後にこのプロジェクトを通してお二人が夢見る乾物の未来を語っていただきました。

サカイ「より多くの人が乾物という考え方の未来性に気づいてくれるといいなと思っています。特に若い人たちに。」

田平「どの家でも、野菜を買ってきたら半分はお料理に使って、半分は乾物にしようというのが当たり前になる世界ができたらいいなと思っています。」


この記事を書いた人

MotionGallery編集部

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