2013年10〜11月、MotionGalleryでのクラウドファンディングで応援いただいた「恋人たち」が、遂に今週11月15日(土)より全国公開されます!『ぐるりのこと。』から7年。橋口亮輔、監督・脚本による待望の長編最新作。「第28回東京国際映画祭」にて今年新設された注目の「Japan Now」の1本に選出され、観客から喝采をうけたのが記憶に新しい今作ですが、その他注目情報をまとめてみました!大注目作品ですので、是非劇場まで足をお運びください!
映画『恋人たち』とはー
ストーリー
稀代の才能・橋口亮輔監督が『ぐるりのこと。』以来、7年ぶりに放つ長編最新作です。
キャストオーディション・脚本執筆・監督・編集など、
橋口監督が構想から2年以上かけて作り上げました。
理不尽なことがまかり通る世の中で、不器用に生きる恋人たち。
心に傷を抱えながら、幸せを求めて彷徨いつづける彼らが見つけた、ささやかな希望の光。
明日に未来を感じることすら困難な今、
私たちすべての人に贈る、絶望と再生の物語が誕生しました。
理不尽なことがまかり通る世の中で、不器用に生きる恋人たち。
心に傷を抱えながら、幸せを求めて彷徨いつづける彼らが見つけた、ささやかな希望の光
通り魔殺人事件によって妻を失い、橋梁点検の仕事をしながら裁判のため奔走する男、アツシ。そりが合わない姑、自分に関心をもたない夫との平凡な暮しに突如現れた男に心が揺れ動く主婦、瞳子。親友への想いを胸に秘める同性愛者で、完璧主義のエリート弁護士、四ノ宮。不器用だがひたむきに日々を生きる3人の“恋人たち”が、もがき苦しみながらも、人と人とのつながりをとおして、ありふれた日常のかけがえのなさに気づく姿を、『ぐるりのこと。』『ハッシュ!』で知られる稀代の才能・橋口亮輔は、時折笑いをまじえながら繊細に丁寧に描きだす。どんなに絶望的な世界であっても肯定し、ささやかな希望を胸に再び歩き出す―― 滑稽で、哀しくも愛おしい彼らを見つめる橋口監督のまなざしは、どこまでもやさしく、そして、あたたかい。明日に未来を感じることすら困難な今、私たちすべての人に贈る、絶望と再生の人間ドラマの傑作が誕生した。
原作・脚本・監督 橋口亮輔
92年、初の劇場公開映画『二十才の微熱』が劇場記録を塗り替える大ヒットを記録。2作目となる『渚のシンドバッド』(95)はロッテルダム国際映画祭グランプリ、ダンケルク国際映画祭グランプリ、トリノ・ゲイ&レズビアン映画祭グランプリなど数々の賞に輝き、国内でも毎日映画コンクール脚本賞を受賞。人とのつながりを求めて子どもを作ろうとする女性とゲイカップルの姿を描いた3作目の『ハッシュ!』(02)は第54回カンヌ国際映画祭監督週間に出品され、世界69カ国以上の国で公開された。文化庁優秀映画大賞はじめ数々の賞を受賞。『ハッシュ!』から6年ぶりの新作となった4作目の『ぐるりのこと。』(08)は、何があっても離れない夫婦の十年を描いて「橋口亮輔の新境地」と各界から絶賛を浴び、報知映画賞最優秀監督賞、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞(木村多江)、ブルーリボン賞最優秀新人賞(リリー・フランキー)など数多くの賞を受賞した。2013年、若手俳優のためのワークショップ(実践型演技講座)をもとに2日間で撮影した62分の中編『ゼンタイ』を発表。レイトショー公開ながらロングランヒットを記録した。本作『恋人たち』は『ぐるりのこと。』以来、7年ぶりとなる長編新作となる。
MotionGalleryで海外映画祭出品の為クラウドファンディングを実施し見事達成!
本作恋人たちは、劇場公開に向けての活動と同時に、海外映画祭に出品し世界にこの作品を届ける為の費用をクラウドファンディングし、見事目標金額の200万円を上回る応援を集めました。
現在様々な海外映画祭からアプローチがあり、皆様の応援が来年の海外映画祭に届く事間違いなしの状況となっております!
約2年の歳月をかけて完成した『恋人たち』には、いま日本が抱えていること、そこに生きる人々の感情が、しっかりと描かれており、「愛おしさに満ちてくる映画」「見終わった後も、心を揺さぶられている」など、たくさんの賞賛の声をいただいております。
そこで本作を日本中、そして世界中へ届けるべく目を向けたのが、
海外映画祭への挑戦です。橋口監督が描いたのは、不条理に満ちたこの世界を、それでも慈しみ肯定する、絶望と再生の人間ドラマです。
日本が不安に大きく揺れ動く2015年、社会の片隅で力強く生きる“恋人たち”を見つめた本作は、日本人にはもちろん、この国を外から知る外国人にも観てもらい、この映画を通して日本の今と、そこに生きる人々の心情を感じ取ってほしいのです。
(MotionGalleryプロジェクトページから)
素晴らしく魅力的なリターンも到着!
映画『恋人たち』のクラウドファンディングでは、劇場チケットやエンドクレジットやパンフなどと共に監督直筆の絵コンテという物凄い貴重なものもリターンに設定されていました。
MotionGalleryのプロジェクトページから
橋口監督が撮影前にどの様な”絵”を、何処までの解像度で思い浮かべ、そこから逆算して映画を創りあげて行ったのか、そしてそのイメージと実際に出来上がった作品ではどの様な違いがあるのかが一目瞭然となる、まさに橋口監督の映画制作の思考の旅の軌跡が詰まった直筆絵コンテという、本当に貴重なものです。映画制作を志す人間であれば尚更見てみたい一品!
そんな魅力的なリターンが、劇場公開直前、遂にコレクターの基にも郵送されました!
こんなにも魅了的な額装と共に!
コレクターに届いた実物!
一番驚いたのが、実際の作品のカットがこの時点で略完璧に決定されていて、かなり忠実に撮影されている事でした。背景やロケーションに至るまで、すでにこの時点で個別具体的な所までが想起されていた模様です。映画と見比べて絵コンテを観る。とても幸せな映画体験です!
監督の映画への思い
今作は、心に傷を抱えながら、それでも生きる3人の絶望と再生の物語です。以下の監督のコメントを読むと、作品に込めた思いが分かります。
現代のわかりやすく感情移入できる話ではないかもしれませんが、みんな『飲みこめない思いを飲みこみながら生きている』と思うんです。でも、殺すわけにもいかない、まして自分が死ぬことも出来ない。じゃあ、やっぱり生きていくしかないと生きている人たちって、特に震災以降、日本にはたくさんいらっしゃるんじゃないか。誰にも胸の内をわかってもらえなくて生きている人が、この世界にいるんだということをわかっている人がいて、こういう映画を作ったんだということを知るだけでも、その人の救いになる。そうなれば、この映画を作ったかいがあったと思う
”無名俳優”達の存在感!
本作でメインとなる3人の“恋人たち”に扮するのは、監督自らがオーディションで選んだ篠原篤、成嶋瞳子、池田良、といういずれも無名の新人俳優たちです。無名の俳優達でありながらも、存在感があると話題をよんでいます!“作家主義×俳優発掘”を理念とする松竹ブロードキャスティングのオリジナル映画製作プロジェクト作品として製作された本作は、この方法であるからこそ表現できたことがありそうです。劇場で確認していただきたいです!
橋口監督の下、ワークショップで即興演技の訓練を積んでから本番に臨んだ、ほぼ素人に近い無名俳優たちが、圧倒的な存在感を発揮している。喪失感と怒りの間を往復する技師役の篠塚篤、ゲイとしての孤独を笑顔で誤魔化す弁護士役の池田良、そして、すべてをさらけ出して女性の生理を体現する成嶋瞳子。彼らが我々に気づかせるものは何かと言えば、それは、所詮タイプキャストで構成された鮮度のない物語の虚しさと、そこから生み出される深層まで手が届かない映画たちの限界点に他ならない。橋口亮輔の最新作は、視点も方法論も定石を果敢に逸脱している。
メインキャスト紹介
篠原篤 as 篠塚アツシ
1983年2月1日生まれ、福岡県出身。幼少期を長崎で過ごす。橋口監督の中編『ゼンタイ』(13)のエピソード「草野球」につづいての出演となる。
『恋人たち』では、愛する妻を通り魔殺人事件で失ったつらく重い過去を抱える男を演じる。
成嶋瞳子 as 高橋瞳子
1973年2月19日生まれ、山口県出身。橋口監督の中編『ゼンタイ』 (13)のエピソード「レジ店員」につづ いての出演となる。そのほかの出演作に、 ドラマ「怪談新耳袋」(10/TBS)などがある。
『恋人たち』では、自分に関心をもたない夫と、そりが合わない姑と3人で暮らしつつも”ここではないどこか”に想いを馳せる主婦を演じる。
池田良 as 四ノ宮
1978年1月27日生まれ、愛知県出身。慶應義塾大学卒業後、外資系コンサルティング会社に就職、海外勤務を経て27歳の時に俳優を志して退職。舞台・ ドラマ ・映画などに出演しながらアメリカのステラアドラー校に演技留学の経験も。最近では、映画『種まく旅人くにうみの郷』 (15/篠原哲雄監督)、CM「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン妖怪ウォッチ・ザ・リアル」などに出演。
エリートである自分が他者より優れていることに疑いをもたない完璧主義な渉外弁護士を演じる。
この3人の新人を支えるべく、光石研、安藤玉恵、木野花、黒田大輔、山中聡、山中崇、内田慈、リリー・フランキーら、個性溢れる実力派が顔を揃え、物語をさらに豊かなものにしていますので、そちらにもご注目ください!
橋口監督を支えた淀川長治氏の言葉
「ぐるりのこと」からオリジナル長編新作をとしては7年ぶり、脚本を書き終わるまで8ヶ月を要したという今作、その間橋口監督を支えたのは、故・淀川長治氏の言葉だったそうです。「第28回東京国際映画祭」で語られたこのエピソードに会場からも拍手が沸き起こったということです。胸が熱くなるエピソードです!
30歳の時に淀川さんと会った際、『二十才の微熱 A TOUCH OF FEVER』のファーストシーンが「まるで溝口健二の映画のようで、傑作だと思った」と言われたことを振り返る。しかし「でもその後が全然ダメ。なんでか分かる?」と続けた淀川さんは、映画のシーンの具体例を挙げて「あれもダメ。これもダメ」と徹底的に指摘し続けたという。
「そして散々怒られた後に、『あなたはらわたをつかんで描く人なの』と言われた」と振り返った橋口監督は、淀川さんからもらった「あんたは1回映画を選んだんだから最後まで映画をおやりなさい。あんたはやれる」という言葉を「僕の財産ですね」とかみしめる。「『ぐるりのこと。』の後にいろいろなことがあって。映画なんてバカらしくてやってられないなと思ったこともありました。でも先生が『あんたはやってくれる』とおっしゃってくれたんで『ああ、俺はやれるんだ』と思った」と淀川さんへの思いを吐露。
作品によせられたコメント
著名人やいち早く映画を鑑賞された方々からのレビューや情報をSNSから集めてみました。本当に多くの人に観て欲しいと思う映画です。
【竹内まりやさんより】哀しみと虚しさを胸に抱えながら生きてゆく主人公たちの姿と、リアルな言葉が心に痛い。なのに、この映画がほのかな希望さえ感じさせてくれるのは、橋口監督の人間を見つめるまなざしがどこまでも温かいからだ。 #恋人たち pic.twitter.com/18pzxyUZtj
— 映画『恋人たち』 (@Koibito_movie) 2015, 10月 26
【妻夫木聡さん(俳優)より】
息もできない、圧倒的な絶望感
沸沸とした想いがぐるぐる渦巻いている ほんの些細な悦びが心の綻びを直してくれた時、今を愛せることもできるのかもしれないと思った
あのラストシーンは一生忘れることはないだろう
pic.twitter.com/NIECechVW2
— 映画『恋人たち』 (@Koibito_movie) 2015, 10月 19
【『恋人たち』によせて】
「僕が自ら映画監督を名乗らないのは、橋口監督のような人がいるからです。
こんな映画を作る人と自分が同じ職業なわけがない!
これぞ映画!これぞ映画監督!!そしてこれぞ今観るべき日本映画!!!」
――大根仁さん(映像ディレクター/『バクマン』)
#橋口亮輔
— 映画『恋人たち』 (@Koibito_movie) 2015, 10月 11
今一番観たかった映画『恋人たち』を橋口監督の舞台挨拶付き上映で。
大きな救いはないけれど、 生き辛さを抱えてる人の心にそっと寄り添ってくれるような作品だと思う。 コピーにある通り「それでも人は、生きていく」と思わせてくれる一本。 pic.twitter.com/Pha8jLAvaw
— ハル (@_haluta_) 2015, 11月 8
”恋人たち”三人の主人公が平凡な日常の中で抱く、怒り・絶望・不安そして恋心。理不尽がまかり通る世の中を、そんな感情をかかえながらも賢明に生きる三人と、共に生きる人達。明日に未来を感じる事すら困難な今、橋口監督らしい切り口で、明日を生きるための、僅かな希望を差し示してくれる作品。
— 常山の住職 (@CinemaCLAIRfan) 2015, 11月 1
TIFFで橋口亮輔監督の『恋人たち』すばらしい。余韻に揺さぶられ続け、終演後監督を見ているだけで泣けてしかたない。ひとまず感想を簡単に。日常の不条理、幸福、不完全さがむき出しなのに微かな気配を集めているだけ。希望を探る姿にあざとさが全くない。その手つきは冷たいが体温が通っている。
— 鈴木 みのり '15 (@chang_minori) 2015, 10月 28
上映詳細情報
《公開日時》2015年11月14日 (土)よりテアトル新宿ほかにてロードショー
《劇場》オフィシャルサイトをご確認ください
《映画オフィシャルサイト》 http://koibitotachi.com/
《キャスト》 篠原篤 成嶋瞳子 池田良
安藤玉恵 黒田大輔 内田慈 山中崇 山中聡
リリー・フランキー 木野花 光石研
《スタッフ》 原作・脚本・監督:橋口亮輔
撮影:上野彰吾 照明:赤津淳一 録音:小川武
美術:安宅紀史 音楽:明星/Akeboshi