facebook hatenabookmark line motiongallerymagazine next prev top twitter

INTERVIEW - 2016.10.16

新しい音に挑戦する輝&輝バンド1stアルバム『開華宣言』が創りだした新しいファンとの関係性

女性2人組み津軽三味線ユニットとして活躍してきた輝&輝(キキ)。彼女たちはより幅広い表現を求め、リズム隊、そしてキーボードのメンバーとともに2014年に輝&輝バンドを結成。世代をこえて津軽三味線の魅力を伝える活動をスタートさせています。

女性2人組み津軽三味線ユニットとして活躍してきた輝&輝(キキ)。彼女たちはより幅広い表現を求め、リズム隊、そしてキーボードのメンバーとともに2014年に輝&輝バンドを結成。世代をこえて津軽三味線の魅力を伝える活動をスタートさせています。

この輝&輝バンドの音楽をしっかりと伝えるため、5人はアルバム制作を決意。昨年4月にリリースされたアルバム「開華宣言」の制作資金を調達するためにクラウドファンディングを利用しました。5人の活動についてお伺いしました。

津軽三味線に魅せられて

―― 輝&輝のお二人は、そもそもどのようなきっかけで津軽三味線を始めたのですか?

武田佳泉(津軽三味線):最初はテレビです。当時、上妻宏光さんや、吉田兄弟さんが注目されている時期で、よく出演していてかっこいいと思っていたんです。また、同時期に中学校の文化教室で津軽三味線の演奏で、実際に生の音を聴く機会があり、感動して習い始めました。

白藤ひかり(津軽三味線):私は祖母が普通の三味線をやっていたのがきっかけです。近所で三味線教室を探したらたまたま津軽三味線の教室だったんですね。

―― ふつうの三味線と津軽三味線はどのような違いがあるのでしょうか?

武田:どちらも名前は同じ三味線ですが、奏法も音楽のジャンルも異なります。たとえるならジャズとロックぐらい。三味線の形や大きさも若干異なっています。普通の歌舞伎やお座敷で使う三味線は細棹という、小さくて軽い三味線ですけど、津軽は太棹という棹もサイズも普通の三味線より大きいものです。奏法も異なります。「べんべん」とバチで弦を叩いて音を出すのは津軽三味線だけ。

白藤津軽三味線の奏者って若手が少なくて、そのなかでも女性はさらに少ないんです。同い年の女の子は私と武田さんの二人ぐらいしかいなくて、三味線の大会に行くと趣味の合う仲間に会えるという感じで、ライバルではあるんですがみんな仲良しでした。

武田:私は愛知、白藤さんは 兵庫出身なのですが、その二人が同時に大学入学で上京することになったんです。すでに仲良くなっていたし、近くなったことだし、二人でなにかをやろうと話が盛り上がり輝&輝を結成しました。

ユニットからバンド編成へ

―― 当初は二人のユニットだったのが、バンドとしてパワーアップした理由はどのようなところがあったのでしょうか?

武田:6年ほど2人だけで活動して、それなりにファンの方も増えてきたのですが、もう少し音楽の幅を広げたいと考えるようになりました。また、年配のお客様だけでなく、もっと若い人にも津軽三味線を聞いてほしいと強く思っていたんです。やっぱり、若い人に知ってもらえないと、津軽三味線という伝統芸能そのものがなくなってしまいますし。そのためには、もっとみなさんに興味を持ってもらえる音楽に歩み寄っていこう、バンドなんていいだろう!と考えたんですね。それからはメンバーを個別に誘って行きました。

新井和輝(ベース):僕は2人のユニット時代から、サポートでライブの手伝いをしていたんです。

武田:バンドを組むならベースは新井さんしかいないねってすでに決めていて、六本木に呼び出して口説き落としました。

新井:口説き落とされたからには楽しくきちんとやりたい、ということでドラムは勢喜君を誘いました。ここ2年ぐらい一緒にやることが多くて、とても気が合うんだけども、輝&輝にもどうかな?って。

伊藤辰哉(キーボード):僕と武田さんは高校生時代からの知り合いなんです。当時、ふたりともエレクトーンをやっていて、ヤマハが10代のエレクトーン奏者を集めて全国ツアーをやるという企画があったんです。そこで知り合って。

武田:エレクトーンを習っていたんですが、そのイベントでは三味線で出ていたんですよ。その企画から数年後、いまではさまざまなジャンルのミュージシャンのサポートをされている伊藤さんに声をかけた。

伊藤:基本的にバンドは組まないでやってきたので、バンドという形態はぼくにとっても新鮮でした。

―― 三味線以外のメンバーのみなさんは、バンド結成時は三味線についてはどのように思っていましたか?

勢喜遊(ドラム):聴いたことはなかったですね。

新井:知ってはいたけど……、ぐらいでした。

伊藤:同じく、吉田兄弟という名前は知ってるけどという状態でした。

白藤:だから、最初はどうやっていこうか探りながらのスタートでした。とりあえず、三味線主体で曲を作って、みんなに合わせてもらうというような形で。

新井:でも、最近変わってきました。

伊藤:レコーディングやライブを重ねてきて、みんながそれぞれ主張するようになってきました。試行錯誤だったんですが、少しずつ勘というものがつかめるようになってきた。津軽三味線のおもしろさがわかってきた。

武田:音楽を作るのが楽しくなってきて、もっとよいライブ、もっといいCDを作りたいと欲が出てきたんですね。

―― そこでクラウドファンディングを考えるようになった。

新井:バンドを作ったらみんなに知ってもらいたいですし。

白藤:でも、多くのバンドと同じようにネックはやはり資金でした。だから、あまり踏み出せずにいたのですが、黒船という、私も参加しているバンドが、クラウドファンディングで資金を調達しました。黒船は津軽三味線と島唄を融合した音楽をやっているのですが「こんな音楽をやっていて、こういうことをしたいから、ぜひ協力をお願いします」というのを、上手にアピールできていて、その結果多くの賛同者が集まっていました。

武田:それまで、クラウドファンディングをやっている人が身近にいなくて、自分たちの世界とは関係ないものだと思っていました。でも、近くに成功した人がいると、自分たちでもチャレンジできそうな気持ちになりまして。

白藤:MotionGalleryを選んだのも黒船さんが使っていたからというのもあります。

武田:たとえ、設定した目標金額に到達しなくても資金は調達できるということだったので、メンバーと話し合って決めました。

一緒に音楽を楽しむ、広める。クラウドファンディングで新たに生まれたファンとの関係性

伊藤:特典を考えるのが結構たいへんでしたね。

白藤:女子2人が中心のバンドですけど、アイドルではないので、写真をつけても仕方がないですし。

武田:クラウドファンディングの先輩である黒船さんを参考に考えたのですが、ファン層が違うので、自分たちのファンが喜んでいただけるものってなんだろうって悩みました。

白藤:自分たちの音楽がどのように聴かれているのか、ファンはどのような人たちなのか、私達になにが求められているのかを、真剣にそして客観的に考えるいい機会でもありました。

―― 実際にはじめてみていかがでしたか?

白藤:やはり年配の方からは「クラウドファンディングってなに?」って質問は多かったですね。なので、逐一ご説明して、ライブでもお話して。

武田:でも、インターネットをたしなまれていて、ブログを見ている方は理解が早い。

白藤:パソコンがそこまで得意じゃない方は、「仕組みがわからないので直接渡していい?」と、ライブの後に現金をいただいたこともありました。

武田:入会の手続きなどをこちらで代行したりしていました。

伊藤:インターネットを使ってお金をやりとりするというところにハードルがある方が多いですね。

白藤:それでも、目標額が40万円だったところを、参加者のみなさんのおかげで60万円も集めることができました。

武田:これは予想以上の金額で本当にびっくりしました。目標額を達成できなかったらどうしようという不安が大きかったんです。

白藤:なので、この40万円という金額も、CDを制作するために必要な金額のギリギリのものでした。

伊藤:私達は、3,000円や5,000円のサイン入りCDがつく特典が手頃で一番人気が集まるかと思っていたのですが、10,000円のメイキング映像ももらえる特典が人気だったのは意外でした。

武田:初日で目標金額の7割近く集まったのも嬉しかったです。自分たちは地道にやっていくつもりだったんですが。

白藤:なので、そんなに悩むこともありませんでした。

―― クラウドファンディングをやって印象的だったことは?

白藤:みなさんが参加で制作できたCDは「開華宣言」という名前になりました。その「開華宣言」をお送りした方の多くが、Facebookやtwitterで「CDが届いた!」って写真つきでアップしてくれたことが、とても心に残っています。

武田:ほとんどの参加者の方々でした。「みんなも聴いてください」って感じで、広めてくれるんです。それまで、そんなことはなかった。

新井:おれも関わったCDって気持ちになってくれていることを感じました。

勢喜:「このバンドはワシが育てた」的に思ってくれているみたい。

武田:ファンの人たちのスタンスが、聴いてくれるだけでなく、いっしょに盛り上げようという気持ちになってくれるのは、予想していなかったことです。

白藤:そして、「開華宣言」を発売して、全国ツアーも行いました。福岡や名古屋や兵庫、徳島など、普段は行けないところでも演奏できました。

新井:メンバーの地元つながりで選んだ会場でしたが、どの会場も非常に盛り上がりました。

―― 全国各地でコンサートも開催したそうですね。

武田:以前、バンドでなく輝&輝でアルバムを1枚出したことがあったんですが、どれだけコストを抑えられるか、ということばかり考えて作っていたんです。でも、今回クラウドファンディングという方法で、よりクオリティの高いものを作れるし、その分参加していただいたお客様によりよい作品を渡せることを知りました。

白藤:前回作ったときは、次に作るならいい音で、いいジャケットで、いいデザインと思っていて、そのことが実現できてよかったです。実際、ジャケットは非常に好評でした。

武田:今後も、またよりよいライブ、アルバムなどを作っていきたいと思っています。そのためにも輝&輝バンドを盛り上げていきたいし、クラウドファンディングも活用していきたいですね。


この記事を書いた人

MotionGallery編集部

MotionGallery編集部です。

https://twitter.com/motiongallery/


この記事を
シェアする!

Twitter

Line

Ranking
記事ランキング

Follow Us
Motion Galleryをフォローする

各種ソーシャルメディアでも、MotionGalleryの情報を配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしよう!