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INTERVIEW - 2015.09.16

映画を愛する多くの人に見つけてもらえた、つながれた。 / 川越スカラ座

「川越スカラ座」のDCP上映機の購入費用調達に成功した、NPO法人プレイグラウンドの飯島千鶴さんと成沢なぎさんにお話を伺いました。インタビュー当日は職業体験の中学生2名がおしゃべりをしながらも場内整備やもぎりに大活躍中。まさに地域の映画館です。

MotionGalleryは、これまでさまざまなプロジェクトを実現するお手伝いをしてきました。クラウドファンディングに挑戦し、「川越スカラ座」のDCP上映機の購入費用調達に成功した、NPO法人プレイグラウンドの飯島千鶴さんと成沢なぎさんにお話を伺いました。
インタビュー当日は職業体験の中学生2名がおしゃべりをしながらも場内整備やもぎりに大活躍中。まさに地域の映画館です。

江戸時代より城下町として栄え、近年は蔵造りの町並みが人気を誇る埼玉県川越。この街のシンボル『時の鐘』の近くにある映画館が、戦前から続く「川越スカラ座」です。もともとは明治38年(1905年)寄席「一力亭」してスタートしたこの施設は、1940年に映画館「川越松竹館」としてリニューアル。さらに1963年に「川越スカラ座」に改名、現在に至ります。その歴史は2015年で110年。川越になくてはならないシンボル的存在です。

じつは、このスカラ座、長らく家族経営でやってきましたが支配人が高齢となり、跡取りがいなかったため、2007年に、NPO法人プレイグラウンドが運営を引き継ぎました。現在主流となっているシネマコンプレックスにはない味わいを持つ映画館の佇まいは、わざわざ遠方から訪ねてくるファンもいるほど。現在は、いわゆる「二番館」として、ミニシアター系の作品を中心として上映しています。

次の時代まで生き残るためにはDCP映写機が必要不可欠!

ーー埼玉県で最古の映画館と伺いました。

 営業している映画館としては最古ですね。川越には、映画館が全盛期には7館もあったそうなんですが少しずつ減って現在はここ1館だけ。私たちが運営を引き継いで8年目になります。現在は我々2名で劇場を回しています。


年代物のフィルム上映機器は、いまでも映写室の片隅に。

ーーその映画館にDCP映写機を導入することになった経緯とは?

 現在、映画を取り巻く環境は大きく変わってきていて、DCP映写機もそのひとつです。DCPとは、デジタル・シネマ・パッケージの略称です。iTunesのように、映画をデータの形式で配給をうけ、それを上映すると考えていただければわかりやすいかもしれません。

 いままで、フィルムやブルーレイなどで配給されていた映画は、近い将来すべてこのDCP形式での配給になると言われています。この「近い将来」が、来年なのか10年後なのかはわからないのですが、とにかく急激に普及していまして、フィルムやブルーレイでは配給しないという映画も出てきました。つまり、DCP映写機を導入しないと、上映できる映画が減ってしまうことになるんです。けれども、このDCP対応の映写機を導入するには最低500万円の費用が必要となります。この資金をつくりだすのが難しくて……。自己資金や、3,000人近くいる賛助会員さんたちからの賛助金を合わせても300万円。200万円不足していました。そこをどうしようかと考えていたんです。

ーーということでクラウドファンディングを開始されたと。

 助成金の制度を利用するというのも考えたのですが、自治体への申請や提出する書類、その後の報告業務などを考えると非常に手間がかかるものだと考えていました。クラウドファンディングは、以前から映画製作などで利用されていたので仕組自体は知っていました。そこで、この仕組を利用しようと思ったんです。

ーーはじめるにあたって、周囲の方々の反応はいかがでしたか?

 わりあいとスムーズでした。所属するNPO団体の役員たちにも説明したところ、興味をもってくれてトントン拍子に開始が決定しました。

全国各地から思った以上の反響が

ーークラウドファンディングを準備するにあたって、特典などはどのようなものを用意しましたか?

当初は種類を少なめにしていたのですが、MotionGlleryさんからのアドバイスもあって、細分化して、少ない金額でも参加できるようにしています。また、川越スカラ座にすでにいる賛助会員さんたちのことも念頭に入れました。会員さんたちは恒常的にお金をいただいて応援してくださっているため、今回参加してくださる方との間に内容の差がついてしまうのもよくないと思い、いろいろ考えました。

当館に残っていた映画のフィルムの切れ端を使ったドリンク券などは、非常に好評で「ずっと持っていたいので利用したくない」とおっしゃる方もいました。おそるおそるはじめてみたクラウドファンディングですが、多くの賛同をいただいて、配給会社さんや制作会社さんに初日に参加していただいたり、うれしいこともありました。また、高額の参加者の方には木札を作ってお名前を劇場横の壁に飾らせていただいています。これだけをわざわざ見に来てくれる方もいて、ありがたかったですね。


劇場内には、クラウドファンディングに参加したコレクターのお名前が木札に

映画のフィルムの切れ端がドリンク券に。どの映画のどのシーンのフィルムなのかを見る楽しみも映画ファンにはたまりません。

ーー順調に進みましたか?

 それがなかなか……。最初は順調に参加者が増えていったんですが、期間の中盤にはいってから、ぴたっと動きが止まって……。とはいえ、クラウドファンディングをはじめる前にMotionGalleryさんから、どんなプロジェクトでも参加者が増える時期、なにをやっても増えない時期があると伺っていたので、驚きはしませんでした。もし、なにも知らずにはじめて参加者が増えない状態に直面したら、精神的に大変だったかもしれません。

 クラウドファンディングの宣伝は、店頭でのチラシとtwitterで呼びかけを中心に行いました。映画のチラシの裏にクラウドファンディングやっています!と書いて配るのですが、おかげさまで問い合わせはたくさんいただきました。お客さまの年齢層が非常に高いので、コンピューターやインターネットの説明からスタートすることもしばしば。直接映画館に現金を持ってきてくださる方も多かったですね。

 そうこうしていくうちに、少しずつ参加してくれる方が増え、残り5日の時点で目標金額に到達しました。不思議だったのは、ファンディングが成功した後に続々と参加してくれる方も増えたこと。「みんながやっているから私もやります」というコメントが多かったのが印象的です。いわゆる“祭り”に参加する気持ちでやってきてくださったのでしょうか。そういった軽い気持ちでご支援いただけるのは大歓迎です。その後、その軽い気持ちからスカラ座に足を運んでくださって、そして映画ファンになってくださるといいなと思っています。映画ファンの裾野を広げることができそうな予感もしました。

 また、クラウドファンディングで話題が広がった事もあり、TBS系列のニュース番組「News23」が川越スカラ座の取り組みを紹介していただきました。話を聞いてみたらしかも放送日もプロジェクトの最終日だというんです。お話をいただいたのは、目標が達成できるか、できないかのギリギリの時期でバタバタしていたんですが、さらにバタバタが加速して嬉しい悲鳴でした。

 このニュースを見て、クラウドファンディングに参加したいというお近くにお住まいの方の問い合わせもいただきました。大きなメディアがクラウドファンディングのプロジェクトを紹介するという事に、クラウドファンディングが一般的になってきたことを実感したできごとでした。


クラウドファンディングで導入されたDCPが早速活躍していました

デジタル化が進む映画界。川越スカラ座のこれから

ーースカラ座と映画のこれからについて教えてください。

 クラウドファンディングを大々的に実施することで、DCPの機材費が調達できただけでなく、私たちの活動や川越スカラ座が、じつはかなりギリギリの状態である、ということを多くの方々に知っていただくこともできました。「もう、ずっと存在しつづけるものだと思っていたけど、そんな状態だったんだね」と声をかけてくれる方も多いですし、クラウドファンディングに引き続いて賛助会員として入会してくれる方も増えたんです。正直なところ、お客様にとってはDCPを導入すること自体はあまり関係ないんですね。スクリーンに映る映画は、フイルムでもDCPでも同じもの。導入したとしても、格段になにかが素晴らしくなるわけではないので……。けれども、機材の必要性を感じていただき、私達の映画館を続けていきたいという想いに共感していただけたことは大変ありがたいです。

 また、川越以外にお住まいで、実際にスカラ座に足を運んだことがない方も「自分の住んでいる土地の映画館がなくなってとても悲しかった。こんな気持ちは川越の人に味わってほしくない」という理由で参加してくれる方も多かったんです。映画、そして映画館を愛してくれる人たちがこんなにいるとわかったことは、とても大きな財産になりました。

 映画に限らず、デジタルは大きく生活を変革させています。カメラも家電製品もみんな使い方、ありかた、人との関わり方が変わってきている。映画だけ変わらないというわけにはいかないように思います。すでに撮影方法も上映スタイルも変わってきているし、DVDレンタルだって、お店から配信へと変わろうとしています。そのなかで、映画という文化、映画館のあり方は今後どうなっていくのかは私たちにもわかりません。なにはともあれ、映画を愛するひとたちが、これからも楽しく映画を見られるように、私たちなりにできることを少しずつやっていきたいと考えています。

川越スカラ座

住所:埼玉県川越市元町1-1-1
交通アクセス:西武新宿線本川越駅から北へ徒歩15分
明治38年に寄席として始まり、昭和15年に映画館として生まれ変わりました。現在はNPO団体で運営。路地裏にあり隣が民家、スクリーンはたったひとつで、定休日毎週火曜。昭和情緒たっぷりの異空間をお楽しみください。

芸術の秋に相応しいスカラ座からのお知らせ!

10月末から11月あたまにかけての「ナツカシ」と銘打った特集上映が始まります!
「ナツカシ 木下恵介傑作選」のお知らせ
http://event.k-scalaza.com/?eid=1264395

また、秋に上映する日本映画3本を「川越スカラ座激選日本映画」としてスタンプラリーを実施する予定です!
是非、川越スカラ座に足をお運びください!


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この記事を書いた人

MotionGallery編集部

MotionGallery編集部です。

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