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INTERVIEW - 2017.08.11

自然と共に生きる安心と幸せに溢れる場所。ソーヤー海が平和道場を作った理由

東京から電車に乗ることおよそ2時間。千葉県いすみ野市にMotionGalleryでクラウドファンディングを行い作られた「パーマカルチャーと平和道場」があります。昔ながらの縁側がある古民家を中心に、これから様々な作物を育てるための土地が広がる緑豊かな場所です。パーマカルチャーとは、お金に依存するのではなく持続可能な農業や文化によって、自然と人が共に豊かに暮らしていくこと。平和道場に足を踏み入れると、それまで曖昧だったパーマカルチャーの輪郭がはっきり見えてきました。

今回お話を伺ったのはこのプロジェクトの発起人のひとり、ソーヤー海さん。パーマカルチャーを実践するアメリカのブロックス・パーマカルチャー農園で過ごした経験から、東日本大震災以降に「東京アーバンパーマカルチャー」として都会でパーマカルチャーを広めています。


★ソーヤー海さん。竹林のなかのお気に入りの場所に椅子を置いて。

僕の方針は「その時にいいとおもったらやる」ということ。だからクラウドファンディングをやることもすぐに決まったんだ。仲間から募るというスタイルもいいし、楽しそうで僕たちが必要としていることをやっていたら絶対に誰かが助けてくれると思っていたから。クラウドファンディングでお金が集まると、プロジェクトに気楽さが増えるというのもいいし、ビジョンやストーリーを拡散してくれるメディアでもあるからね。自分一人で実現するのではなく、多くの多様な人たちと実現させるためにはクラウドファンディングが有効な気がする。

ー平和道場はどんな場所なのでしょうか。

道場という名前を選んだのは「道」を歩むひとたちが集まって教え学び合う場所にしたかったから。暮らしの技術や、平和とは何かを学ぶことでお金に依存しないで生きられるようにトレーニングしたり、都会から少し離れて心や体を癒す「養生施設」としてここを作ったんだ。少し都会から離れた場所にしたのは、物理的な距離をとることで都会とバッファをとるため。東京の資本主義が持っているパワーはすごく強いから、バッファをとっていないとそれに吸い込まれてしまうからね。


★平和道場の入り口。この日は全国各地からクラウドファンディングで支援をした人や近くに住むスタッフが集まりました。


★心と体を癒す場所だから、どんな風に過ごすのも自由。昼寝をするだけでもいい、とソーヤーさん。

ーソーヤーさんはここでどんなことをしているのですか?

プロジェクトや、畑は、土壌が健康だとどんどん育っていって実がいっぱいできる。でも土壌が悪いとエネルギー消費が高くて、収穫物があまりないんだよね。プロジェクトを立ち上げるときも、土壌がいいと勝手にみんなが役割見つけてやり始めてくれて想像を超えるようなことが実現する。だから僕の役目は常に良い土壌を育てること。組織を作るのではではなく、美しいビジョンを伝え続けて、良い土壌を育てていれば自然に人が集まってくる。


★持ち寄りごはんポッドラックの様子。ソーヤーさんの提案でひとり一言ずつ持ち寄ったご飯の紹介をすることに。


★初めての参加者が多くても、自然とご馳走が集まっています。

たとえば前回クラウドファンディングで作った本「都会からはじまる新しい生き方のデザイン」を作った時も、本は作りたいと思ったけど僕は実際に文章を書きたくなくて。それをワークショップで言っていたら書きたい人たちが集まってきてくれたんだ。

僕は土壌を育てて種を植えることはしたけど、みんながその種を思いっきり育ててくれたんだよね。


★音楽が得意な人が母屋の一角でウクレレ教室をしている様子。食べ物などだけではなく文化もここで育まれています。

ーパーマカルチャーは、田舎でないとなかなかできないようにも見えます。東京でも実践することができるのでしょうか?

全然できるよ。大事なのは形じゃないんだ。田舎でやったほうがスペースがあるから僕は楽しいけど、やってる内容はどこででもできる。今の都会は命と常に戦っている文化になっちゃってるんだよ。自分の睡眠を減らすためにコーヒーとか薬飲んだりして。だけど、都会がいつもそうだったわけではなくて、たとえば江戸時代には都会と田舎がつながっていたように、そこで命がちゃんと循環する工夫をすることはで

きるんだ。パーマカルチャーの活動は命を祝って育むこと。それをやらないほうが壁にぶつかるんだ、だって僕らが命そのものだから。都会にいるとついつい忘れちゃうんだけど、自然は僕らが絶対に必要な食べ物、酸素、水、全部を生産してくれてるんだよ。

ーこれから、この平和道場はどんなふうになっていくんですか?

平和道場のことを、「完成したの?」ってよく聞かれるのね。でも、ここは完成することがないんだ。僕の活動は全部、動詞だから。道場も、ここに人がいて活動をしている時に意味があって、この建物に意味があるわけじゃないんだ。床を貼ったり、竹を切ったり、瞑想会をやったり、何かをやってるときにはじめてこの建物に意味が生まれるんだ。だから、僕のビジョンはこれを続けていくこと。そうすると、ここで活動している人の意識がどんどん深まっていく。


★この日のイベントで最初に行われた瞑想の時間。

いずれはここで6ヶ月くらい住み込みで暮らしの技術を学び平和の実践をして、お金に依存しないで本質的に自由な生き方ができるトレーニングの場所にしていきたい。そして、それがうまくいったらどんどん道場を増やしていく。これが平和のインフラなんだ。暴力にも抑圧的な権力構造や軍需産業のようなインフラがあるように、これからは平和な世界を作っていくインフラが必要だからね。教育、文化、食料や家など、暮らしに必要なものを自分たちで作り出せるようにしたいんだ。

ーなんだか、すごく楽しそうな未来が待っていそうな気がします。

そうでしょう?どんなことでも、現実の捉え方次第だよね。僕は、人間はみんな、誰かのお話のなかで生きていると思っていて、今話したのも僕のお話の世界なんだよ。でも、こういう話、わくわくしない?


この記事を書いた人

MotionGallery編集部

MotionGallery編集部です。

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