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LIVE&EVENT - 2017.08.19

クリエイティブの秘密を探る、大好評企画!BETTARA創作座第3回「暮らしに生きる職人技」レポート

創造的なプロジェクトを立ち上げた実施者、それを応援する支援者、クラウドファンディングに関わる全ての人々が、クリエーターとして、共に想いを積み上げ、プロジェクトを共に作っていく場、BETTARA創作座。第3回は「暮らしに生きる職人技」をテーマに、世界一やさしい筆「福筆:Fukufude」と、社会と向き合う鹿革製品ブランド「DIYA」、2つのプロジェクトに迫ります。

お盆の中、集まったのは様々なクリエーターたち

イベントの鬼門とされるお盆に開催された、第3回BETTRA創作座。

DIYで作られたBETTARASTANDの温かみのある雰囲気のせいなのか、はたまた前回とは比べ人数のせいなのか(笑)参加者の方々はどこかリラックスした様子です。

参加者の方々は、クラウドファンディングを知りたくていらっしゃった方から革製品が好きな方まで、本当に様々。友人に連れられて来た大学生や、ご近所の方もいらっしゃいました。

開始時間の前から、当日知り合った人同士が展示品を見て談笑する風景は、オンラインではない、リアルな場特有の「繋がり」を感じさせます。

そんな中始まった第3回BETTRA創作座。テーマは「暮らしに生きる職人技」です。

豊橋への愛、職人への愛、子供への愛がつまった「世界一優しい筆」

ゲスト一人目は、赤ちゃんを世界一やさしく洗える筆「福筆:Fukufude」をつくる吉開仁紀さん。

福筆は、最高品質の豊橋筆の技術で作られた、親と赤ちゃんの「親子浴」のための筆。親と子供のお風呂時間を最高のものにする優しい筆です。

現在豊橋市役所の職員として働く吉開さんは、何故福筆を作ろうと思ったのでしょうか?
そこには豊橋市職員として、そして父親としての吉開さんの想いがありました。

●豊橋への想い

トークは「皆さん、豊橋市を知っていますか?」という吉開さんの一言から始まります。豊橋は、花火職人が4000人いるほど花火で有名な市であり、吉開さん自身も花火師であるとのこと。「公務員兼花火職人」という肩書きに、思わず笑みがこぼれる観客たち。

しかし豊橋が有名なのは、花火だけではありません。豊橋は、世界中の書家が愛用する高品質な筆、豊橋筆の生産地でもあるのです。

会場に展示されていた福筆に触れると、確かに今迄触れたことないほどのふわふわな感覚です。思わず自分の頬に触れさせる人もいたほどです。

子供のいない記者ですが、美容のために一本欲しいと思ったくらいです(笑)
豊橋を、豊橋筆を知ってほしいとの想いがありました。

●職人さんへの想い

話は、福筆の職人さんの話へ移ります。

伝統工芸士である、川合福男(号福瑞)さんと、そのお弟子さんの、中西由季さん。
中西さんは、なんとか伝統工芸士になりたいと様々な職人さんのところを訪ねましたが、どこも断られたそう。そして最終的には、一番最初に訪ねた川合さんのところへ弟子入りすることになったそうですが、プロジェクトページのお二人の写真を見ると、親子のような笑顔です。

プロジェクト成功の秘訣は、一人の想いではだめだということ。
職人さんとのコミュニケーションを徹底したと、吉開さんは話していました。

●子供への想い

「何故お風呂という場を選んだのか?」

大高の疑問に、一児の父である吉開さんは、「父親が子供と最もコミュニケーションが取れる場所がお風呂であるから」とお話されました。

そのお顔はとても優しくて、先ほどの豊橋を愛する職員さんの顔から、父親の顔になったかに見えました。
豊橋を知ってもらいたいという想い、お子さんへの想い、そして豊橋筆の職人さんへの熱い想いが福筆にはつまっていると思いました。

ちなみに、職人さんの名前は福男さん、プロジェクトページの赤ちゃんは、福太郎くんというそうですよ!なんだか運命めいたものを感じてしまいました。

「鳥獣駆除」が、ブランドに

本日二人目のゲストは、映画『祖谷物語-おくのひと-』で知られる映画監督、蔦哲一朗さん。撮影地だった徳島県の“祖谷(いや)”地方で目にした害獣駆除の現状を伝えたいと、革製品ブランド「DIYA」を立ち上げました。

さらに、徳島の特産でもある本藍で染めることで、より印象的でファッショナブルな形を提案。おしゃれでありながら、伝統と命を受け継ぐ革製品が生まれました。

「DIYA」のプロモーションムービーから始まった蔦さんのパート。

ジブリ的な原風景と、加工されていく鹿の映像からは、匂いや生き物の息遣いまで伝わってくるよう。会場の空気も、先ほどとは少し変わったように思えます。

なぜ、映画監督である蔦さんが、革製品ブランドを立ち上げるに至ったのか。
その想いと、プロダクト完成の秘訣に迫ります。

DIYA」=Deer(ディア)+ 祖谷(いや)=IYA

ブランド名「DIYA」の由来は、Deer(ディア)と祖谷(いや)。
今、日本の里山では野生鳥獣による農作物被害が深刻化しています。
蔦さんの地元であり映画『祖谷物語-おくのひと-』の舞台である祖谷も、鹿による被害が深刻化。
そして駆除された鹿の多くは、そのまま山に放置されてしまうそうです。
「鹿を駆除したあとは、尻尾を提出すればそれで終わり」との言葉に、駆除の現実が真に迫ってきます。
「ゴミ」になってしまう駆除された鹿を、付加価値をつけることでブランドとして発信していく。

鳥獣駆除×工芸

その付加価値とは、職人さんの技術と、デザインです。
「DIYA」の鹿革製品を触ってみると、驚くほど柔らかな手触りと、鮮やかながら心落ち着く色合いです。

ずっと触って、見ていたくなるような製品ですが、完成するまでには、沢山の困難があったそう。革を藍染めするということは、とても難しいそうです。
様々な職人さんを探し、行き着いたのは京都の藍染工房。和歌山で加工された革に徳島の天然藍染料が染まっていく。
「DIYA」の製品には沢山の技術と、プロジェクトへの共感がつまっていると思いました。

「一番困難だったことは?」との大高の質問に蔦さんは「デザインができないこと」と答えていました。
デザイン含む、革から製品への加工を担当するのは、徳島で活躍する革職人、三木直人さん。
三木さん含む、職人さんに出会うまでの道のりは、どれだけ長かったことでしょう。観客である私たちは、そんな困難に想いを馳せてしまいます。

ちなみに、藍色に白のまだら模様は、「ローケツ染め」という、蝋を用いて染められたものだそうです。だからこそ、この味わいが生まれるんですね。

「DIYA」は、祖谷、また日本で起こる「鳥獣駆除」を、伝統工芸という人の手を通し、発信しています。お話を聞いた後は、「DIYA」の製品がよりいっそう重く、そして素敵に感じられるようになりました。

これから「DIYA」は、ネット販売や、いずれは百貨店での販売を目指しているそうです。
また蔦さんが代表を務める映画配給、制作会社ニコニコフィルムでは、現在映画『シベリアの白い血』が公開中。( https://liberia-movie.com/)会場では、その予告編も流れ、皆さん映画のチラシを手にとって見ていらっしゃいました。

その後はフリートーク

お二人のトークセッションの後は、少々時間を挟んで、お二人の製品を囲んでの、自由なフリートーク。

因みに今回でのドリンク代の10%がクラウドファンディングに充てられるということで、大高が飲み物を勧めると笑いながらカウンターに向かう人もちらほら(笑)

フリートークでは、製品を試したりしながら、皆さん盛り上がっておりました。
つまった技術や想いを聞いた後に、その製品を手に取ることができるという体験。
同じものを見て、聞いて、その場で初めて出会った人々と語り合える場所。
まさしく、「クリエイティブ」で繋がっている感覚がありました。

「福筆」「DIYA」のプロジェクトの残り日数は、共に数日となっています。

プロジェクトに関わる全ての想いが、広まっていきますように。
そして、創作座に集う人々の中から、新たな想いが、クリエイティブが生まれていきますように。

MotionGalleryでは、「新しい使い方が発見する職人の伝統技法の魅力」特集として、今回のゲストお二方に加え、越前の職人達と連携した新たな漆器プロダクト「FLOREPOLIE」のクラウドファンディングも行っています。


この記事を書いた人

MotionGallery編集部

MotionGallery編集部です。

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