facebook hatenabookmark line motiongallerymagazine next prev top twitter

LIVE&EVENT - 2020.03.23

内子を遊び尽くし、仲間と新たな価値をつくる。築約170年の古民家ゲストハウス #24 愛媛

MotionGalleryとゲストハウス情報マガジンFootPrintsとの共同企画として、47都道府県のゲストハウスを毎月1宿ずつめぐり開催している「ローカルクリエイター交流会 -Guesthouse Caravan-」。第24回は、2020年1月25日(土)愛媛県内子町にある「古民家ゲストハウス&バー 内子晴れ」に伺いました。

日本各地のゲストハウスを毎月めぐり、地域で面白い活動を企む人たちが垣根を越えて出会える場をつくることで、新たな関係性やプロジェクトの芽を育もうとする企画「 ローカルクリエイター交流会 -Guesthouse Caravan-(以下、キャラバン)」。

24カ月目となる今回の舞台は愛媛県内子町。四国初の重要伝統的建造物群保存地区に選定された「内子のまち並み」の入り口に2017年11月オープンした「 古民家ゲストハウス&バー 内子晴れ」にお邪魔しました。

イベント当日は、内子晴れを運営する「合同会社アソビ社」代表の山内 大輔(やまうち・だいすけ)さんから、ゲストハウス開業の経緯や、“アソビ仲間”を増やしながら新たな価値をつくり続ける内子晴れの活動について紹介いただきました。山内さんのプレゼンを中心に、今回のイベントをレポートします。

動画には、内子晴れの館内やイベント風景だけでなく、大正時代に建てられたレトロな映画館「旭館」を訪れた町散歩の様子や、翌朝イベント的に実施してくださった「鯛めしを使ったタイ焼きのお茶漬け」も登場しているので、ぜひ覗いてみてください。

新たな関係性の輪が広がる「ローカルクリエイター交流会」第24回 in 愛媛

このキャラバンは、MotionGalleryによる「日本各地で誕生しようとしている熱いプロジェクトにエールを送りたい」という思いと、 FootPrintsによる「ゲストハウスを通じて、暮らしの選択肢が広がるきっかけを届けたい」という思いを組み合わせて実施しています。

キャラバン隊として毎月各地をめぐるのは、FootPrintsを運営する前田 有佳利(dari)と、「あなたのまちに、新しい映画体験を」をコンセプトに掲げるマイクロシアターサービス popcornに携わる梅本 智子(moko)。MotionGalleryの専属サポーターでもあるdari&mokoがゲストハウスの方々にご協力いただき、地域の人と人との新たな接点をつくるべく「ローカルクリエイター交流会」を開催しています。

今回、内子晴れの皆さんが「この人とあの人が繋がったら面白いだろうな」や「いつか会いたいと思っていたあの人をこの機会に誘ってみよう」と思い浮かんだ人たちを積極的に招待してくださったおかげで盛大に賑わい、すぐにでも新たな企画が生まれそうな熱量に満ちた交流会となりました。

参加者みんなで記念撮影。前列中央の帽子をかぶった男性が山内さん。その左が運営メンバーの1人である馬場 宏介さんです。

内子晴れの皆さんが地元食材をふんだんに使用した鍋や春巻きなどを用意してくださいました!

お遍路をきっかけに四国へ移住。内と外を繋ぐ場所をつくりたい

さて、ここから山内さんのプレゼンを振り返っていきましょう。

神奈川県横浜市生まれの山内さん。大学を卒業後、2年間のサラリーマン生活を送ったのち、バックパッカーとして世界各地を旅していました。スペインの世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」を訪れた際に、偶然出会った日本人から「お遍路もすごく面白いですよ」と言われ、その言葉を頼りに、弘法大師ゆかりの四国88カ所を巡礼する通称「お遍路」を実践します。

山内さん

1日30〜40km歩くので心身ともにキツイこともあるのですが、そういうときに地元の人たちが車を止めて飲み物をくれたり、家に招いてご飯を振る舞ってくれたり、めちゃくちゃ良くしてくれたんです。それが日々繰り返されていくうちに、どんどん四国が好きになって。徳島からスタートして高知を歩き、愛媛に入った頃には「四国に住みたい」という気持ちになっていました。

その後、四国に移住しようと仕事を探し「地域おこし協力隊」の募集を見つけたことから、約6年前に内子町に移住。自作のプロフィールシートを握り締めて一軒一軒に挨拶するところからはじめ、集会や催しにも積極的に参加。さらにSNSを使って内子町の情報を発信し、移住希望者のアテンドなども行いました。

今では内子町の老若男女から「だいちゃん」という愛称で親しまれる山内さん。

山内さん

20連発の輪ゴム鉄砲をつくる人とか折り紙自販機を発明している人とか、内子町には自分の暮らしの中に楽しみを見出している人が多くて、そういう生き方に憧れるようになりました。また、県外からやってくる人たちを案内するなかで、自分では気付かなかった内子町の魅力に喜んでくれることがあって。内子町の人にとっての普通の暮らしは、旅人にとっての新鮮な体験になり、また旅人が喜ぶ姿を見ることで、内子町の人が自分の町に誇りが持てるようになるんだって気付いたんです。

そこで、この内と外の関係性を今後も増やすには人と人とを繋ぐ拠点づくりが必要だと思い、築約170年の空き家との出会いも重なったことから、ゲストハウスの開業を考えていくようになりました。

四国初の重要伝統的建造物群保存地区に選定された「内子のまち並み」。内子晴れ付近から約600mにわたって広がっています。

仲間と共にアイデアを持ち寄り、新たな価値を生み出す

開業について具体的に検討するうちに、自分一人では補えない点がいくつか炙り出されてきました。そこで、内子町に暮らす友人や県外の旧友に相談。次第に山内さんの思いに共鳴するメンバーが集い、宿運営に留まらない将来的な展望も視野に入れ、共に「合同会社アソビ社」を設立するに至ったのです。

メンバーは、グラフィックデザイナーの馬場 宏介さんと、一級建築士の白砂 孝洋さん、プロダクト・家具デザイナーの小松 祐介さん。料理人の河野 奈穂美さんやコーヒー専門の黒岩 健介さんらと一緒に山内さんが現場に立ち、他3名は専門分野を生かしつつ東京や大阪から遠隔で関わるという珍しい運営体制です。

山内さん

メンバーが増えたことで、自分一人だけのアイデアとはまた違った新しい価値が生まれるようになりました。改装準備は5割ほどをセルフリノベーションでやったのですが、内子町の人にいただいた薄い木材の使い道をみんなで考えて、編み込んで壁の装飾にしたんです。アイデア次第で価値がつくれるってこういうことか!と目の当たりにした瞬間だったなと思います。

2階の相部屋。壁の一部が編み込み式のデザインになっています。

和紙の原料「こうぞ」を天井の装飾に用いるなど、随所に内子町の伝統産業の素材を取り入れています。

地域の中にも仲間を増やし、内子町のメディア的な拠点に

併設するバーでは、地元の食材を取り入れたフードやドリンクを豊富なラインナップで提供。さらに土間の一角を用いて、地元の作家や農家が手掛けた雑貨や加工食品をセレクトした物販ブースも設けています。

山内さん

ただ販売するのではなく商品の価値を上げられるようにと、商品にちなんだイベントも開催しています。例えば「GOOD MORNING FARM」さんのジャムとクラフトビールとのペアリングメニューを参加者みんなで考えながら味わったり。町の中で好きな場所を見つけてコーヒーを飲んでもらいたいと思って、内子晴れの2周年祭に合わせてオリジナルのタンブラーをつくるなどもしています。

内子豚を使用した和風キーマカレー。愛媛県産の麦味噌が隠し味です。

内子晴れのロゴマークが描かれたオリジナルタンブラー。コーヒーをテイクアウトして町に繰り出せます。

山内さん

内子晴れのコンセプトは「内子を遊び尽くす」です。これからも一緒に学んで、食べて、喋って、出かけて、いい仲間ができて、好奇心の幅が広がっていくようなことをもっといろんな人たちとやっていきたいと思っています。「幸せだなぁ、いいなぁ」ってみんなが思える新たな価値を一緒につくって世の中に発信していけるメディア的な拠点に、今後も内子晴れを育てていきたいと思います。

こう締めくくる山内さんの思いに賛同するかのように、会場はあたたかな拍手に包まれました。

高台から眺める内子町。はじめましての土地なのに、どこか懐かしい、人の温もりを感じる町でした。

合同会社アソビ社というチームの枠を超え、さらには宿泊機能を備えることで県境や国境さえも超え、陽の光が注ぐ晴れ間に人々が集うように、今後もますます楽しい“アソビ仲間”が増えていくことでしょう。

そして私たちのキャラバンは、今後もまだまだ続きます。
次はきっとあなたのまちへ。

(文/写真/動画: FootPrints 前田 有佳利


この記事を書いた人

MotionGallery編集部

MotionGallery編集部です。

https://twitter.com/motiongallery/


この記事を
シェアする!

Twitter

Line

Ranking
記事ランキング

Follow Us
Motion Galleryをフォローする

各種ソーシャルメディアでも、MotionGalleryの情報を配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしよう!