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LIVE&EVENT - 2020.03.09

“好き”が伝播する場所づくり。約1900冊を所蔵する少女まんが館 × ゲストハウス #23 佐賀

MotionGalleryとゲストハウス情報マガジンFootPrintsとの共同企画として、47都道府県のゲストハウスを毎月1宿ずつめぐり開催している「ローカルクリエイター交流会 -Guesthouse Caravan-」。第23回は、2019年12月12日(木)佐賀県唐津市にある「唐津ゲストハウス 少女まんが館Saga」に伺いました。

日本各地のゲストハウスを毎月めぐり、地域で面白い活動を企む人たちが垣根を越えて出会える場をつくることで、新たな関係性やプロジェクトの芽を育もうとする企画「 ローカルクリエイター交流会 -Guesthouse Caravan-(以下、キャラバン)」。

23カ月目となる今回は、佐賀県唐津市で約1900冊の少女まんがを所蔵する「 唐津ゲストハウス 少女まんが館Saga」(以下、女ま館)を運営する館主・池田 愛子(いけだ・あいこ)さんのもとを訪れました。

イベント当日は、池田さんから「ゲストハウス × 少女まんが専門の私設図書館という運営スタイルに至った経緯は?」や「唐津ファンをつくるために、どういった取り組みをしているの?」などをお話いただきました。池田さんのプレゼンを中心に、今回のイベントをレポートします。

動画には、女ま館の館内やイベント風景だけでなく、翌日のまち歩きの様子も収めています。

ライトアップされた佐賀城へ「ローカルクリエイター交流会」第23回 in 佐賀

このキャラバンは、MotionGalleryによる「日本各地で誕生しようとしている熱いプロジェクトにエールを送りたい」という思いと、 FootPrintsによる「ゲストハウスを通じて、暮らしの選択肢が広がるきっかけを届けたい」という思いを組み合わせて実施しています。

キャラバン隊として毎月各地をめぐるのは、FootPrintsを運営する前田 有佳利(dari)と、「あなたのまちに、新しい映画体験を」をコンセプトに掲げるマイクロシアターサービス popcornに携わる梅本 智子(moko)。MotionGalleryの専属サポーターでもあるdari&mokoがゲストハウスの方々にご協力いただき、地域の人と人との新たな接点をつくるべく「ローカルクリエイター交流会」を開催しています。

今回のイベントでは、佐賀米を使ったおにぎりや豚汁などを池田さんが振る舞ってくださいました。交流会のあとは希望者を募り、ライトアップされた唐津城を眺める夜のまち歩きへ。その後、高架下にある居酒屋にお邪魔し、カウンター席で肩を並べて夜が更けるまで交流を楽しみました。

参加者みんなで記念撮影。グレーの服を着たメガネの女性が池田さんです。

ライトアップされた唐津城。唐津湾に面し、城を中心に鶴が両翼を広げたように見えることから「舞鶴城」とも呼ばれています。

編集者として都内で約10年間過ごし、震災を機に暮らしを見つめる

さて、ここから池田さんのプレゼンを振り返っていきましょう。

唐津出身の池田さんは、大学進学を機に京都へ。学生時代は京都市の観光案内所でバイトをし、卒業後に「人生は一度しかない。やりたいことをやろう」との思いから“世界一周の船旅”を謳う「ピースボート」に乗船。帰国後、幼い頃から本が好きだったことから編集職を希望し、都内の出版会社に就職しました。

池田さん

それからリーマンショックで出版会社が倒産してしまって。転職先が決まるまでの時間を使って、学生時代に過ごした京都に旅行をしました。その時、はじめてゲストハウスに泊まったんです。「まったく知らない人と話せるスペースが宿の中にあるって面白いもんだな。こういうのって唐津にはまだないなぁ」と当時はただぼんやりと思っていました。

その後、別の出版会社を経てフリーランスの編集者・ライターとして独立。2011年の東日本大震災以降「東京に固執する必要はないのかも」との思いが心の中で少しずつ膨らんでいき、「地元が好きだからUターンしたい。じゃあ何をして暮らそう?」と改めて仕事について考えるようになりました。

ゲストハウスの共用リビング。少女まんがという共通のテーマがあることで、初対面同士でも会話が盛り上がりやすいそう。

わざわざ唐津に泊まりたくなる、寛げる場所をつくりたい

「地方は仕事の選択肢が少ない。やりたいスタイルで仕事をするために起業しよう」と考えた池田さん。2017年7月にUターンをし、その約半年後となる2018年2月に女ま館を開業しています。

池田さん

ゲストハウスを実際にやろうと思ったのは2014年頃です。当時、唐津にゲストハウスはなく、今のようにご当地アニメの聖地として認知されてもいませんでした。福岡から訪れる観光客は唐津駅周辺を素通りして呼子でイカを食べて日帰りすることが多くて。だけど、唐津には風光明媚な城下町があって「唐津くんち」という有名なお祭りや美味しい食、唐津焼などの文化もあります。「こういう唐津の魅力をもっと知ってもらうために、わざわざ泊まりたくなる場所をつくりたい」と思いました。

ユネスコ無形文化遺産に登録されている秋季例大祭「唐津くんち」で実際に使用される曳山(やま)。

イベント翌日に池田さんに案内していただいた、唐津市の肥前名護屋城から見た景色。

宿泊施設のコンセプトを検討するなかで「やりたいことは何か?」と自問自答を繰り返し、寛げる場所をつくりたいとの思いから、自身が特に好きな“少女まんが”のある空間づくりを目指しました。そこで、かつて取材先として縁のあった東京都あきる野市にある「少女まんが館」に相談。姉妹館をつくる許可を得て、現在のゲストハウス×少女まんが専門の私設図書館という運営スタイルができあがったのです。

かねてより編集・ライターの仕事も継続したいと考えていたことから、原則木曜〜日曜の週4日間で女ま館を運営しています。長年培った取材力は接客にも生かされており、池田さんとの会話に夢中になり、思わず読書の手が止まっている人もしばしば。

JR唐津駅から徒歩約10分の場所に位置する女ま館。元米屋の精米所兼事務所を全面的にリノベーションしています(写真:唐津ゲストハウス 少女まんが館Saga)

ロフトの上にもジャンルごとに少女まんがずらりと並んでいます。左側の青い柱はかつての精米機を残したもの。

“やりたいこと”を組み合わせて独自性を高め、“好き”を伝播させる

こうして「ゆったり ごろごろ のんびりと」をコンセプトに掲げて女ま館を開業し、約2年が経過しました。今までのことを振り返り、軒数が急増している国内のゲストハウス市場で生き残るためにも「“やりたいこと”を組み合わせて差別化を図ることは大切」と池田さんは話します。

池田さん

うちは東京の少女まんが館さんから“のれん分け”していただいたことで、少女まんがとゲストハウスという軸が定まりました。そこからアイデアを広げて、少女まんがの読者層に合わせて宿泊部分を基本的に女性専用にしたり、まんが喫茶としての機能も持ちたいなと飲食業の許可を取って、男女問わず誰でも喫茶利用や図書利用ができるように共用リビングをオープンな場にしたりしています。

宿泊は基本的に歳18歳以上の女性限定ですが、貸切利用時は年齢性別の制限なく宿泊が可能です。

地産地消にこだわった朝食や喫茶メニューも提供。朝食は宿泊者限定なので、ぜひ泊まってみてくださいね。

最近では、隣接するシェアオフィスや近隣の住民を交え、月に一度の飲み会とお茶会を開催しているそう。さらにSNSを駆使して、ご当地アニメの聖地巡礼スポットやおすすめの飲食店を紹介するなど、地域の情報発信も積極的に行っています。かつての観光案内所のバイト経験もここに生かされているようです。

池田さん

これからも自分らしい差別化をしながら、当館を訪れる人たちが唐津をもっと好きになる工夫を続けていきたいと思います。唐津ファンとしてリピーターになっていただきたいですね。

池田さんのおかげで、今回をきっかけに私たちもすっかり唐津が好きになりました。経験を基盤に“やりたいこと”を掛け算することで強固な独自性が生まれ、その原点にある“好き”という気持ちが強ければ強いほど思いは伝播する。そういったことを池田さんの姿勢から教えていただいたような気がしました。

そして私たちのキャラバンは、今後もまだまだ続きます。
次はきっとあなたのまちへ。

(文/写真/動画: FootPrints 前田 有佳利


この記事を書いた人

MotionGallery編集部

MotionGallery編集部です。

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