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LIVE&EVENT - 2020.03.07

都内からわずか1時間で田舎暮らしを体験。米農家の元実家を生かしたゲストハウス #22 茨城

MotionGalleryとゲストハウス情報マガジンFootPrintsとの共同企画として、47都道府県のゲストハウスを毎月1宿ずつめぐり開催している「ローカルクリエイター交流会 -Guesthouse Caravan-」。第22回は、2019年11月23日(土)茨城県石岡市にある「ゲストハウスjicca」に伺いました。

日本各地のゲストハウスを毎月めぐり、地域で面白い活動を企む人たちが垣根を越えて出会える場をつくることで、新たな関係性やプロジェクトの芽を育もうとする企画「 ローカルクリエイター交流会 -Guesthouse Caravan-(以下、キャラバン)」。

22カ月目となる今回の舞台は茨城県石岡市。「にほんの里100選」に選ばれた八郷地区にある「ゲストハウスjicca」を運営する株式会社tsumugi代表 比企 智浩(ひき・ともひろ)さんのもとを訪れました。

イベント当日、比企さんから「なぜ東京の大手企業を辞めてUターンし、米農家である実家の近くでゲストハウスをはじめたのか?」や「イノシシ狩り体験や稲刈り体験などを開催する背景にある思いは?」などをお話しいただきました。比企さんのプレゼンを中心に、今回のイベントをレポートします。

動画には、jiccaの館内やイベント風景だけでなく、翌日のまち歩きの様子も収めています。

八郷名物イノシシ鍋を味わう「ローカルクリエイター交流会」第22回 in 茨城

このキャラバンは、MotionGalleryによる「日本各地で誕生しようとしている熱いプロジェクトにエールを送りたい」という思いと、 FootPrintsによる「ゲストハウスを通じて、暮らしの選択肢が広がるきっかけを届けたい」という思いを組み合わせて実施しています。

キャラバン隊として毎月各地をめぐるのは、FootPrintsを運営する前田 有佳利(dari)と、「あなたのまちに、新しい映画体験を」をコンセプトに掲げるマイクロシアターサービス popcornに携わる梅本 智子(moko)。MotionGalleryの専属サポーターでもあるdari&mokoがゲストハウスの方々にご協力いただき、地域の人と人との新たな接点をつくるべく「ローカルクリエイター交流会」を開催しています。

今回は冬の訪れを感じる季節だったので、参加者みんなで共有スペースの掘りコタツに入り、八郷名物イノシシ鍋や比企家で育てたお米を用いたちらし寿司など、地元の食材満載の料理を囲みながら交流を深めていきました。翌日は水戸納豆付きの朝食をいただき、希望者を募ってまち歩きに出かけました。

みんなで記念撮影。二列目中央にいる男性が、ゲストハウスjiccaを運営している比企さんです。

新鮮な肉を使用したイノシシ鍋ってこんなに美味しいですね! みんなのお箸もどんどん進みました。

実家を生かしてゲストハウスを営みつつ、地元企業の経営をサポート

さて、ここから比企さんのプレゼンを振り返っていきましょう。

比企さんは以前、東京にある国内最大手の信用調査会社でエンジニアとして働いていました。2年3カ月で思い立ったように会社を辞め、地元に戻って2015年11月に茨城県で初となるゲストハウスjiccaをオープン。前職の際に取得していた中小企業診断士の資格を生かし、2016年に地元の中小企業の経営サポートを開始。2018年に株式会社tsumugiを設立し、現在も宿泊業と経営サポート業の二足のわらじで活動しています。

ゲストハウスjiccaのある石岡市から東京都内まで、車で約1時間。その近さからは信じがたいほど美しい田園風景が広がり、日本百名山に選ばれる筑波山の麓にかやぶき屋根の日本家屋が点在しています。この景色を臨む建物のひとつがゲストハウスjicca。ここはかつて、比企さんが18歳になるまで家族と共に暮らしていた旧・実家です。そして、同じ敷地内には米農家である現・実家も建っています。

これはどういうことなのでしょう...?

比企さん

15年ほど前に両親が同じ敷地内に新居を建てました。「前の建物は使わないし取り壊そうか」という話も出ていたのですが、おじいちゃんが建ててくれた形見だったので、使い道に迷いながらもずっと空き家として残していたんです。そこで、前の建物を使ってゲストハウスを開くことにしました。

ゲストハウスの共有リビングをお借りしてイベントを実施。かつて家族の団らんがあった場所です。

原点に立ち返り、肩書きを超えて人々が交流できる場づくりを

それにしても、なぜ比企さんはゲストハウスをしようと思ったのでしょう。その理由は2つあります。1つ目は、東京で過ごすなかで、田舎暮らしや農業に憧れを持つ人が少なくないと気付いたこと。帰省するたびに故郷の魅力を再認識するようになっていったといいます。

そして2つ目は、かつて大学時代に経験した旅の記憶です。この思い出こそが比企さんの原点なのです。

比企さん

大学時代にバックパッカーとして日本中や世界中をめぐっていました。一番記憶に残っているのは、南アメリカ大陸にあるパタゴニアという地域で、山の麓にあるゲストハウスを訪れた時のことです。地元の人と旅人とが肩書きを超えて交流しあって、それがとても楽しくて思い出深くて。世界遺産や観光名所をいろいろめぐりましたが、社会人になっても心に残り続けたのは、その時の記憶でした。

そこで、田園風景を臨む旧・実家でゲストハウスを運営することで、地元の魅力を多くの人々に発信しながら地元の人と旅人が交流し合える場を自分自身がつくれるのではと思い、開業に至りました。

開業にあたってクラウドファンディングも実施。「資金だけでなく応援のメッセージにも励まされました」と比企さん。

こちらは2階の寝室。リノベーション作業には、多くの友人たちが手を貸してくれたそう!

地元の人と旅人をつなぐために。土地柄を生かしたイベントを開催

ゲストハウスを開業後、地元の人と旅人とのコミュニケーションが生まれる機会をつくろうと、さまざまなイベントを実施。地元の食材を使った味噌づくりや、米農家・比企家の専門分野である稲刈り体験、天体望遠鏡を使った星空鑑賞会、さらには地元の人々の協力を得て料理教室を開催したこともありました。

比企さん

地元の人と会話をすることで、その土地の日常や文化を知り、視野が広がる......。過去に自分がしたそんな経験を再現できたらいいなと思っています。畑を荒らす害獣のイノシシを狩る企画をしようと、2年半ほど前に罠猟師の免許を取ったのですが、罠猟って結構難しくて。猟師歴57年の猟友会会長に協力していただきイノシシ狩り体験を開催して、最後はみんなでイノシシ鍋を食べました。

また、宿から徒歩圏内に飲食店がないことから開業当初は素泊まりの想定でしたが、のちに飲食店の営業許可も取得し、今では朝食を提供したりテラスでBBQを行ったりすることもあるのだとか。

今回いただいたイノシシ鍋。元jiccaスタッフの木内 優弥さんと比企さんが前日から仕込んでくださいました。

締め括りとして、比企さんは今後の展望をこのように語ります。

比企さん

旅が好きなので、いつかハイエースのような大きな車を買って、地元の人やゲストハウスjiccaに泊まった旅人みんなで一緒に、茨城県内を旅する企画ができたらいいなと思っています。

イベント翌日、比企さんと観光案内所の方にアテンドいただき、石岡市の中心市街地を散策しました。地元の人による紹介と談笑を交えて出会うまちの景色は、ガイドブックを片手に見る景色とはまったく異なる魅力をまとったものだと、改めて感じるキャラバンとなりました。

イベント参加者から希望者を募って行った、翌日のまち歩きの様子。

次なるステップに向けて、ゲストハウスjiccaの今後の顔となる店長をただいま募集中なのだそう! 気になる方は、ぜひゲストハウスjiccaに問い合わせてみてください。

そして私たちのキャラバンは、今後もまだまだ続きます。
次はきっとあなたのまちへ。

(文/写真/動画: FootPrints 前田 有佳利)


この記事を書いた人

MotionGallery編集部

MotionGallery編集部です。

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