クラウドファンディングとは?
クラウドファンディングとは、「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を集めて作られた造語であります。文字どおり、あるプロジェクトに共感する多くの人々からプロジェクトを達成するための資金を調達するスキームとなります。
21世紀以降、インターネットの普及に伴いアメリカでスタートし、現在では数多くの会社が運営を行っています。2001年、最初のクラウドファンディングプラットフォームとして、「ArtistShare」が運営を開始したのが始まりとされており、2008年の「Indiegogo」や2009年の「Kickstarter」は、現在では10億円規模のプロジェクトが成立するまでに発展しています。
日本では、2011年に、MOTIONGALLERYや「READYFOR」様・「CAMPFIRE」様が登場、以降数多くのプラットフォームが登場しております。
クラウドファンディングの考え方は、実は日本人には馴染み深い物です。1180年、僧の重源は、源平の争乱での焼き討ちで焼失した東大寺と大仏の修復・再建を進言、再建費用を集めるため、全国各地を回り信者や有志から少額ずつの寄付を募りました。その後、彼の実績に倣って寺院や仏像などの新造・修復・再建のため庶民から広く寄付を求める「勧進」という動きが盛んになりました。無事に修繕が終わると、寄付者の名前が寺に記されることもあったと言います。
広島東洋カープの「樽募金」もクラウドファンディングの原型と言えます。1952年、経営難によりカープが解散もしくは他球団と合併するかもしれないという話がきっかけで始まった樽募金。「戦後復興の象徴であり、広島の希望でもあるカープを無くすな」と市民が立ち上がり、球場の入り口などで募金活動を開始、無事広島カープは存続しました。
インターネットを利用した現在のクラウドファンディングは、2011年の東日本大震災の際に、復興支援を目的とした寄付型クラウドファンディングが広がったことが端緒となっています。それに呼応してMOTIONGALLERYやCAMPFIRE様のような購入型クラウドファンディングが広がり、2014年5月には規制を緩和する金融商品取引法の改正案が国会で可決成立したことに伴って投資型クラウドファンディングも注目されるようになりました。
このように、時代の要請にも合致していたクラウドファンディングは市場規模をどんどん拡大しており、2014年度の222億円から、わずか4年後の2018年度には2,000億円に達しました。
クラウドファンディングの種類とその仕組み
クラウドファンディングは、プロジェクトを起案し資金調達する「プレゼンター」、プロジェクトに資金提供する「コレクター」、MOTIONGALLERYのような「プラットフォーム」の三者が関わる事業です。
「クラウドファンディング」の種類は下記のように多岐に分かれます。
- ○非投資型
- 非投資型には大きく「購入型・寄付型」の2種類があります。
- ○購入型
- 購入型クラウドファンディングは、コレクターが商品の開発などに必要な資金を提供する代わりに、出来上がった商品等をリターンとして受け取れるという仕組みです。一般的に「クラウドファンディング」と言ったらこちらの種別を想像される方が多いかと存じます。
- 代表的なプラットフォーム:MOTIONGALLERYの他、CAMPFIRE様・Makuake様など。
- ○寄付型
- クラウドファンディングの仕組みを利用した寄付です。認定NPO法人や自治体など、公益的な活動を行う団体に対する出資となります。
- 代表的なプラットフォーム:Ready for Charity様など。
- ○投資型
- 投資型には大きく「融資型・ファンド型・株式型」があり、それぞれの概要は以下の通りです。
- ①融資型 : 希望融資先が同じ他の資産家と資金を出し合い、大口化してコレクターに融資する仕組みです。いわゆる「ソーシャルレンディング」としても知られています。
- 代表的なプラットフォーム:オーナーズブック様、SBIソーシャルレンディング様など。
- ②株式型 :主に非上場企業株の株式に投資することが可能な種別です。上限は50万円。
- 代表的なプラットフォーム:FUNDINNO様、GoAngel様など。
- ③ファンド型 :プラットフォームが、特定の事業に対して個人投資家から出資者を募る仕組みです。出資者は、売上等の成果や、出資額に応じた金銭的なリターンを受け取る事ができます
- 代表的なプラットフォーム:セキュリテ様など。
- ①融資型 : 希望融資先が同じ他の資産家と資金を出し合い、大口化してコレクターに融資する仕組みです。いわゆる「ソーシャルレンディング」としても知られています。
- 投資型には大きく「融資型・ファンド型・株式型」があり、それぞれの概要は以下の通りです。
クラウドファンディングの流れ
基本的なクラウドファンディングの流れは、分類に限らず共通しています。以下に簡単な流れを記載します。
プレゼンターの場合
・掲載したいクラウドファンディングサイトを検討して、決定したら入力フォームで内容を記載する
・運営の担当者と相談しながら、プロジェクトページを作っていく
・プロジェクトページ完成後、公開して資金調達スタート
・募集期間中はさまざまなPRでプロジェクトページを拡散
・プロジェクトをスタート、リターンの発送
コレクターの場合
・支援するプロジェクトの決定。プロジェクトページの内容やリターンの詳細を確認
・募集期間内にクラウドファンディングサイト上で支援
・募集期間終了後、プレゼンターからの活動報告でプロジェクトの進捗を随時確認
・リターンが予定通り届くかどうかを確認
購入型クラウドファンディングの仕組み
- 購入型クラウドファンディングは、2011年にMOTIONGALLERYやREADYFOR様・CAMPFIRE様が登場してから、プラットフォームが増えています。比較的参入障壁も低いため、国内でも100以上の購入型クラウドファンディングサイトがあるといわれています。
- この購入型クラウドファンディングの仕組みは、リターンがモノ・サービスであることが大きな特徴です。プロジェクトでしか手に入らない特別なモノやサービスを手に入れることができます。また、近年ではテストマーケティングに使う企業様も増えております。
- ・購入型で資金調達するには?
- 購入型クラウドファンディングで資金調達を行う場合、多くのプラットフォームではプロジェクトの掲載相談ページが用意されており、いくつかの項目に回答して送信することで、後日担当者と相談しながら実際の掲載に向けて進めていくことになります。
- 購入型クラウドファンディングの資金調達の方式として「All or Nothing方式」と「All-In(プロダクションファンディング)方式」があります。All or Nothing方式では、募集期間内に目標金額に達しない場合は、それまで集まった金額を一切受け取ることができません。
- All-In方式は、MOTIONGALLERYが初めて導入した仕組みで、プレゼンターは募集期間内に目標金額に達しなくてもそれまでに集まった金額を受け取ることが出来ます。それまで日本にはAll or Nothing方式しかありませんでしたが、『ライク・サムワン・イン・ラブ』というプロジェクトを実施した際に、目標金額に到達するかまだ見えなかった時に、映画の企画がきちんと動き出しそうな流れとなり、支援者から「返金してほしくない、ちゃんと実現の可能性があるのなら目標金額達成になるかどうかに限らずにお金を届けたい」という声が大きくなりました。その経験を元に、クラウドファンディングの役割に沿ったファンディング方式があるべきという結論にいたり、この方式導入。今では一般的なものになりました。
- 実際にプロジェクトの起案を行う際には、プロジェクトがどちらの仕組みに適しているかをきちんと判断することが大切です。
- ・支援者へのリターンはモノ・サービス
- 購入型クラウドファンディングは金融商品を取り扱っていないため、支援した際のリターンはモノ・サービスになります。例えば映画の場合だと、劇中で使われた小道具をもらえたり、監督や俳優から特別なメッセージを貰えたりなど、特別な体験ができるリターンが多いです。イベントやライブの参加券や新商品を通常価格より安く購入できるようなプロジェクトもあり、様々な使い方がされているのが購入型クラウドファンディングの特徴です。
寄付型クラウドファンディングの仕組み
- 寄付型クラウドファンディングは、簡単に言えば募金活動をインターネット上で行う仕組みです。インターネット上で手軽に寄付ができる寄付型クラウドファンディングは、インターネット上での社会貢献・社会的意義のある概念として今後も広がっていくことが期待されています。
- ・寄付型で資金調達するには?
- 寄付型クラウドファンディングの各サイトでは起案者の申込ページがあるため、そちらから申し込むことが可能です。寄付型クラウドファンディングに限りませんが、プロジェクトや申込者の審査があるため、どんなプロジェクトでも掲載できるわけではありません。
- プラットフォームによっては、毎月の寄付金を募集できるものや、募集期間を定めてプロジェクトを実施するものもあるため、プラットフォームごとの仕組みを確認し、ご自身のプロジェクトに合致するものを選びましょう。
- ・支援者へのリターンはなし
- 寄付型クラウドファンディングでは、特にリターンはありません。御礼のお手紙や支援者限定の活動報告などがあるプロジェクトは多いです。ただし、寄付金控除を受けたりすることもできるサービスなどもあります。
融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)の仕組み
- 融資型クラウドファンディングは、インターネット上で集めた資金を、お金を借りたい企業へプラットフォームが融資を行い、その元本+利息を投資した方々に返済していく仕組みになっています。
- ・融資型で資金調達をするには?
- 融資型クラウドファンディングで資金調達を検討する場合は、それぞれのプラットフォームごとに特化しているジャンルがあるため、まずはその点を確認する必要があります。
- 融資型クラウドファンディングサイトは、プラットフォームによって対応が違います。資金調達をしたい企業向けのページを用意しているプラットフォームもあれば、ヒアリングシートに記入してメールで送付し、電話での問い合わせ対応をしている場合もあるため、十分確認してから申し込みましょう
- ・リターンは元本+利息
- l例えば投資家は100万円をそのプロジェクトに投資をすると、平均利回り約8.5%で返済がされます。プロジェクトが運用期間1年だった場合、1,000,000円×8.5%=1,085,000円(税引前収益)となり、100万円が1年後に108万5千円となって返済されます。1年後にまとめて元本+利息が返済される場合もあれば、毎月分配金があるファンドなどあるので、返済される方式については投資前に確認しましょう。
株式型クラウドファンディングの仕組み
- 株式型クラウドファンディングは、未上場企業の株に投資できる仕組みです。従来未上場企業への投資はベンチャーキャピタルやエンジェル投資家のみしか行えませんでしたが、株式型クラウドファンディングの登場で、インターネット上で不特定多数の人から投資を受けることが可能になりました。日本では2017年4月から国内初の株式型クラウドファンディングサイト・FUNDINNO様がリリースされています。
- ・株式型で資金調達をするには?
- まだ日本で株式型クラウドファンディングサイトを運営しているプラットフォームは少ないですが、株式型で資金調達を検討している場合、事前審査を申し込むことが可能です。必要な資料を揃えて審査に申し込みましょう。
- また決算の開示や事業計画も必要になってくるため、他の種別に比べて入念な準備が必要になってきます。株式型の特徴や、仮に資金調達した場合に発生する作業なども考慮する必要があるでしょう。
- ・リターンは企業の株
- 融資型やファンド投資型では直接的な金銭的リターンがありましたが、株式型では未上場企業の株を取得することになります。この株は将来IPOやM&Aによりエグジットがなされたときに初めて大きなリターンを得ることにつながります。IPO前の場合、簡単に他人へ売却することはできません。
ファンド投資型クラウドファンディングの仕組み
- ファンド投資型クラウドファンディングは特定の事業に対して投資を行い、融資ではなく投資に対する分配金という形でリターンが受け取れる仕組みです。また分配金だけでなく、特典としてその事業で作られたモノ・サービスも受け取れることが多いのも特徴です。
- ・ファンド投資型で資金調達をするには?
- ファンド投資型クラウドファンディングサイトを運営しているプラットフォームは少ないですが、申し込む際には各サイトからメールでの問い合わせが必要になります。株式型と同様、事業計画や決算書などが必要になるため、予め準備しておきましょう。
- ・リターンは分配金
- ファンド投資型クラウドファンディングは融資型クラウドファンディングと特徴が似ていますが、リターンの内容は異なります。
- 融資型クラウドファンディングでは、元本+利息という形で利回りが計算されていましたが、ファンド投資型クラウドファンディングでは、売上に基づく分配金で利回りが計算されます。
- 投資する事業における売上計画の目標が達成されていれば、想定された分配金が受け取れることになり、目標が未達であった場合は、元本割れになる可能性があるのがファンド投資型クラウドファンディングのミソです。
以上が、クラウドファンディングの仕組みのざっくりとした概要となります。MOTIONGALLERYの別記事で、各種別ごとの税金の仕組みについてもまとめておりますので、併せてご参照くださいませ!
https://motion-gallery.net/blog/tips_%EF%BC%93
※ラジオ番組を始めました!編集者の武田俊と演劇モデルの長井短が、日本最大級のクラウドファンディングサイト「MOTION GALLERY」のプロジェクトを紹介しながら、アートやカルチャーにまつわる話題を、ゲストとともに掘り下げていく番組です。下記の画像をクリックいただき、是非お聴きくださいませ。