歌手・白崎映美さん「支援してくれた人全員で乾杯したい」。グランドキャバレー白ばらの魅惑
山形県酒田市に残るグランドキャバレー白ばら。かつては大人の社交場として100人を超えるホステスが在籍し、連日連夜賑わっていたその場所が存続の危機に瀕しています。そんな中、白ばらに魅了され、クラウドファンディングを立ち上げた有志の中のひとり、歌手の白崎映美さんにお話を伺いました。
山形県酒田市で57年続いた大人の社交場、グランドキャバレー白ばら
「『白ばら』は、私の地元の山形県酒田市にあるグランドキャバレーなんだけど、私は18歳で上京したから、中に入ったことがなかったんです。ある時、ある方に『何でも願いを叶えます』って言われて。『じゃあ、グランドキャバレー白ばらに連れて行ってください』って言ったんです。それで行ってみたら、もうびっくりしてしまって。『ああ、失敗したちゃ〜、自分の地元さこんないいどごあったんだ。気がつがねがった〜!』って。」
初めて足を運んだ時に想いを馳せるように目を閉じて、うっとりとした口調で話してくれたのは、音楽集団、上々颱風の主要メンバーでもある歌手・白崎映美さん。57年の歴史を持ちながらも存続の危機に立たされ現在営業が停止してしまった伝説のグランドキャバレー白ばらに魅せられ、有志の方と一緒にクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げました。
「白ばらに入ってまず思ったのは、人をおもてなしするための空間なんだなぁっていうこと。すべての知恵とお金と労力を使って、人が日常から離れてうっとりしたり、気持ちがよくなるようにつくられた空間だなと思いました。57年の歴史が詰まった空間も、ホステスさんも、支配人も、みなさんがお客様をおもてなしすることにかけているんです。椅子の座り心地、シャンデリアのひとつひとつ、全部がお客さんをおもてなししている、それって今の現代ではあまりないなぁって感じたんです。」
ビロード貼りの椅子が並び、その間を埋めるように椰子の木が生い茂り、くすんだ電球をたたえたシャンデリアが鎮座しているグランドキャバレー白ばらの様子は、まるで異国の王様の宴が行われる場所のようでもあり、そこで囁かれてきた言葉や交わしたお酒の香りすらまだ感じられるようです。
立ち上がった仲間たちで行った、白ばらキャバレーナイトショー
この場所を守るため、白崎さんをはじめとする有志が集まり、さまざまなイベントや建物の整備などを行っています。白崎さんが仲間のミュージシャンに声をかけ行われた「白ばらキャバレーナイトショー」もそのひとつでした。
東京からもたくさんの人が訪れた「白ばらキャバレーナイトショー」は、クラウドファンディングでお金が集まったら叶えたいという白崎さんの夢でもあります。
きらきらした都会に憧れた少女だった
実は18歳で、都会のキラキラしたものに憧れてきたのだという白崎さん。「中学三年のときに酒田大火っていうので家も全部焼けてしまったんです。それで東京にでてきて2年くらい仕事していて、だけど全然向いていなくって。音楽雑誌のメンバー募集欄を見て上々颱風に応募したんですが、実はすごくはいりたくなかったんです。田舎からきらきらしたものに憧れてきたのに、なにこの田舎くさいバンド!って。だけどそれって、ださいって思わされてたんだなってだんだん気づいて。10年ぐらいかかってやっと上々颱風ってかっこいいじゃん!って思えました。」
上々颱風の活動を通して見せかけの都会の華やかさとは一味違う本当のかっこよさを見つけた白崎さんは、震災後は東北での音楽活動も積極的に行っています。東北の伝統や文化の尊さを知っているから、地元山形の白ばらへの想いも一層強いのだそう。
「夢は東北の山形の、白ばらに来ないと見れないショー。東京からお客さんを呼んでやりたいんです。酒田には本当にいいものがたくさんあるから、それをみんなで周って。楽しそうでしょう。どんどん新しくしちゃえばいいっていう世の中だけど、こういうものを残したいなって思っています。」
支援してくださったみなさんと、白ばらで全員で乾杯したい
GW中には、「白ばら」再生プロジェクトのクラウドファンディングのスタートを記念して、代官山「晴れたら空に豆まいて」でライブイベントが開催されました。多くの人が来場し、白バラの文化に酔いしれました!
そんな活動に共鳴して、続々と集まっている支援。コメントには、山形への想い、白ばらへの想いなどが綿々とつづられています。最後に、支援してくれたコメントが続くページを見てこう話してくれました。
「嬉しちゃ〜、支援してくださたみなさんにお礼言いたいです。そして、白ばらで全員で乾杯しっでちゃ〜。」
募集期間はあと20日間あまり。支援するなら、達成記念パーティーに参加できる15000円のリターンがおすすめです。きっと息を吹き返した白ばらで、白崎さんが歌う白ばらキャバレーナイトショーが観れるでしょう。