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LIVE&EVENT - 2018.12.21

100企業が見学? 伝統的な街を起点にシェアリング・エコノミーを展開するゲストハウス #09 徳島

MotionGalleryとゲストハウス紹介サイトFootPrintsとの共同企画として、日本各地のゲストハウスを旅しながら毎月開催する「ローカルクリエイター交流会 -Guesthouse Caravan-」。第9回は、2018年10月25日(木)徳島県美馬市にある「うだつゲストハウス のどけや」で実施させていただきました。

日本各地のゲストハウスをめぐり、地域のクリエイターたちが垣根を越えて出会える場を開くことで、新たなプロジェクトの芽を育もうとする企画「ローカルクリエイター交流会 -Guesthouse Caravan-(以下キャラバン)」。

第9回は、人口約3万人の徳島県美馬市にある「 うだつゲストハウスのどけや(以下のどけや)」で開催しました。かつての防火壁から転じ、装飾として日本家屋の屋根に取り付けられた小柱「うだつ」。それらが掲げられた伝統的建造物が多く残存し、「うだつの町並み」という愛称で親しまれる脇町に「のどけや」は位置しています。とくしま88景・都市景観100選・日本の道100選・美しい日本の歴史的風土100選などに選定される観光エリアです。

「のどけや」を運営するのは、ミュージシャンとしてライブツアーをし世界25か国をめぐった経験を持つオーナー柴田義帆(しばたよしほ)さんと、プロの漫画家である妻・美智代(みちよ)さん。3人のお子さんと一緒に、家族で暮らしながらゲストを迎えています。

歴史ある地域でアーティスト夫婦が運営する宿、というだけでもインパクトがあります。しかし特筆すべきは、シェアリング・エコノミーの思想に基づいた多数のサービスが「のどけや」を起点に生まれ、その情報を聞きつけた世界各地のクリエイターたちが滞在し、共有スペースでの緩やかな交流を通じ、最先端のアイデアを交換している点です。

ローカルの小さな街でこんな動きが始まっていたのか!と思わず驚くような、その数々の取り組みについて伺いました。徳島を旅したキャラバン全体の様子と共にレポートします。

今回の地域コーディネターを務めてくださった TTA+A 高橋利明建築設計事務所の高橋利明(たかはしとしあき)さんにもアテンドいただき、徳島県美馬市のほか、勝浦郡上勝町などの注目スポットも訪問。上記の動画には、それらの足跡もまとめています。

第9回、3カ所をめぐり映画+交流会+鍋会!半日楽しめる企画に

このキャラバンは、MotionGalleryによる「日本各地で誕生しようとしている熱いプロジェクトにエールを送りたい」という思いと、 FootPrintsによる「ゲストハウスのある旅を通じて、暮らしの選択肢が広がるきっかけを届けたい」という思いを組み合わせて実施しています。

キャラバン隊として各地を巡っているのは、FootPrintsを運営する前田有佳利(dari)と、「あなたのまちに、新しい映画体験を」をテーマに掲げるマイクロシアターサービス popcornの立ち上げメンバー梅本智子(moko)。MotionGalleryの専属サポーターでもあるdari&mokoが、ゲストハウス運営者のご協力を得ながら「ローカルクリエイター交流会」を開催しています。

今回は「うだつの町並み」内にある柴田さんが運営する3拠点すべてをお借りし、「 UNSワタル珈琲」で映画上映・「のどけや別館」で交流会・「のどけや本館」で鍋を囲む二次会、という隣接会場をめぐって半日楽しめる構成の企画が実現しました。


カフェスペース奥にある和室で『A FILM ABOUT COFFEE』を上映。観賞後、コーヒーをいただきました


別館で開催した「ローカルクリエイター交流会」の様子。今回を機に初めてのどけやを訪れた!という人が半数


二次会の鍋会は本館にて。宿泊を別途予約された参加者とご一緒に、dari&mokoも宿泊しました

音楽家であり起業家。柴田さんの人物像と、ゲストハウスを始めた理由

大阪出身の柴田さん。ご結婚後、2014年に妻・美智代さんの地元へ移住しました。同年7月に「のどけや本館」を、翌年8月に「のどけや別館」をオープン。2015年6月に「 一般社団法人ハンモサーフィン協会」を設立して代表理事に就任し、登録された日本各地の宿に月額会員制で自由に泊まれるという新たな仕組みを創り出しています。

2015年11月には「合同会社ゼロイチ舎」を設立し、今年7月「世界中でユーモア溢れるBBQ&鍋体験」をコンセプトにしたサービス「 NABEQ」をリリース。2017年12月には「株式会社ウダツアップ」を設立し、今年4月「世界中の全ての土地でキャンプしよう!」をコンセプトに「landcamp」を始動。どの事業も、空いた建物やスペースを他者と共有することで経済の活性化を図ろうという、シェアリング・エコノミーの思想に基づいています。

柴田さん

20代の頃はライブハウスの経営を、30代の頃は音楽活動をして、ゲストハウスに泊まりながら世界中を旅していました。妻の地元に移住後、「来たからには何かしないとダメだ!」と街を見渡したら、ゲストハウスやバーがないことに気付いて。「バーなら得意分野だな」と思ってバーから始め、それからゲストハウスを開業したんです。

今や有名な「Airbnb」という宿の予約サイトも、当時は四国で数軒しか登録がなく、連日予約の問い合わせが入るようになりました。僕はミュージシャン・妻は漫画家と、それぞれ特色のある背景を持っているので、観光客だけでなく、アーティストやクリエイター、ビジネスパーソンなんかも滞在するようになっていきました。


「賑やかな街で生まれたので一人だと寂しくなる。だから最初、ライブハウスを始めたんです」と話す柴田さん

各地の空き物件を活用し、共遊の別荘にする「ハンモサーフィン」

その後、柴田さんは、空き家を活用して“共有”ならぬ“共遊”の別荘をみんなで持つという発想のもと「一般社団法人ハンモサーフィン協会」を設立。今では、四国を中心に5県・15カ所の拠点を保有し、さらに20カ所から参加希望のオファーを受けている最中です。

柴田さん

ゲストハウスってコミュニティハウスみたいな存在だって思うんです。お互いの足りないものについて話したことをきっかけに、「一緒に何かしよう!」ってプロジェクトが始まることがある。そんな交流の場を全国に広げたいと思って、会社を立ち上げました。空き家って日本中どこにでもあるから、みんなでコンテンツをつくって楽しめたらいいですよね。

現在、「ハンモサーフィン」の登録や検索、予約、決済までできるサイトを作成中。最近では、空き家をリノベーションし、サテライトオフィスやテナントとして貸し出しも実施。それらも旅館業の許可を取得することで、オフィス利用のない時は、宿として旅人を迎えています。これらの取り組みに興味を示す企業や行政は多く、これまで約100社が柴田さんのもとを訪れ、見学や相談をしているそうです。


まさに「UNSワタル珈琲」はテナントとして入居中のお店。建物の奥はサテライトオフィスとして改装中です


柴田さんが友人と共同プロデュースした、印刷工場を改装したコワーキングやホステルなどの複合施設「Adliv」。こちらも「ハンモサーフィン」の拠点の1つです

地方にこそある、シェアリング・エコノミーの必要性と可能性

江戸時代の美馬市は、藍染の藍の一大生産地として多くの商人で賑わっていました。柴田さんはこの“藍づくり(藍・テクノロジー)”を現代に置き換え、“IT(インターネット・テクノロジー)”の商人で賑わうまちづくりを目指しています。そのために、アイデアを実現化するサポートの1つとして、プラットフォームのシステムそのものの販売も検討しています。

柴田さん

個人が所有しているモノ・スペース・サービスをみんなで使う。このシェアリング・エコノミーの発想は、実は昔からあることです。例えば、野菜農家さんと果物農家さんがお互い余ったものを交換し合ったり。ただ、今までは友人や知人といった範囲でとどまっていたものを、現代はインターネットがあるので、仲介サイトをつくることで、持て余している人と必要としている人の両者を広い範囲で結ぶことができます。

シェアリング・エコノミーの必要性と可能性は、地方にこそあると感じていて。少子高齢化や人口減少が進み、手作業だったものは機械化され、空き家や空き地は増えていく。それに伴って働き方も変わり、より一層個人で稼ぐ時代になっていく。そんな状況だからこそ、生きていくツールの1つとして、共有することで広く新たな関係性を生み出すシェアリング・エコノミーが重要になると思っています。


ホストが自身の空きスペースで、鍋やBBQの食材を用意する「NABEQ」。それを体験するような二次会でした

知らないでは済まされない、ITを用いたシェアリング・エコノミーの世界。それが、徳島県にある人口約3万人の美馬市を起点に、世界中の旅人を迎えながら、日々繰り広げられているのです。最先端こそローカルにあり、無価値と思っているものも、誰がどう使うか?の視点を少し変えるだけで、価値あるものへと変換されていくのかもしれません。

そして私たちのキャラバンは、今後もまだまだ続きます。

次はきっとあなたの街へ。

(text/photo:前田有佳利)
(トップ画像提供:@cyda photography)


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この記事を書いた人

MotionGallery編集部

MotionGallery編集部です。

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