日本橋でみんなの笑顔を見たい!小さな縦型長屋でおむすびカフェを作ろう!
日本橋本町・小伝馬町駅のそばにある、江戸「長屋」を縦に4つ積み重ねたような元民家。この8坪4階建てのタイニービルをおむすび屋や本屋がつまった「東京を楽しむ」新拠点にしようとするプロジェクトが進行中です。その代表が、COO(チーフOMUSUBIオフィサー)の武田昌大さん。CEO(チーフEDITオフィサー)の小野裕之さんとともに、合同会社ANDONを設立しました(プロデュースは、ウェブマガジンgreenz.jpを運営するNPO法人グリーンズ)。
1階のおむすびスタンドはテイクアウトカウンター兼、立ち食い立ち飲みイートスペース。こだわりは「炊きたて握りたてのライブエンターテイメント」。おむすびの作り置きせず、オーダーの都度握ります。カウンター席は基本的に立食スタイルで、日が暮れてANDONに灯りがともったら立ち飲み屋へと早変わり。
2階はテーブルに座りながらおむすびをゆっくり食べられるイートインスペース。壁一面に書棚を設置し、さまざまな本を並べます。3階は靴を脱いで座りながら話せるフリーなスペース。電源やwi-fi環境を利用してノマドワークをしてもよし、ミーティング利用に使ってもよし。日々何かが起こって人が集まる場にしていきます。
ファンディングのこり1週間 ラストスパートのイベントをレポート
「ANDON」プロジェクトは、モーション・ギャラリーでクラウドファンディングを募っており、残り5日間というラストスパートの時期になりました。
●集え、全国の遊び人!食×カルチャーの最新型長屋「ANDON」へ。
https://motion-gallery.net/projects/andon2017/upda...
そこで「最後のお願い」を兼ね、実際におむすび体験ができるイベント「締め切り1週間前だヨ!全員集合~トーク&おむすび交流会~」が9月24日(日)に開催されました。
イベントの前半は、武田さんと小野さんの2人に、特別ゲストとして『発酵文化人類学』の著者で発酵デザイナーの小倉ヒラクさんを迎え、3人で食や地域、東京の楽しみ方についてトーク……のはずだったのですが、小野さんの到着が遅れたため、予定を変更して、武田さんによる参加者の「ANDON工事現場」ツアーが行われました。
この日も工事中だったANDON、細長い4階建てのビルの1階入り口だけが黒くなっています。これは「焼杉」という炭化した木材を使っているため。この黒さがおしゃれさを生み出すうえに、とても丈夫なのだそうです。ちらりとのぞいた中のしつらいは、まあたらしい秋田杉を基本に、要所に銅が使われています。これはごはんを保存する「おひつ」にインスピレーションを得たデザインとのこと。どこまでもごはんへの愛が感じられます。
ツアーから戻って、武田さんから秋田県の紹介を聞きました。トラ男、秋田米(もちろんあきたこまち)についてのプレゼン。いかに秋田米を愛しているかということ、これからANDONをどのように成功に導きたいかということなどが、熱く語られました。この一帯には企業のビルも多いのですが、日本橋本町・小伝馬町といえば江戸時代から続く家も多い伝統の町。ANDONも町内会に入り、今度行われるお祭りには協賛金(奉納金)を出したそうです。お祭りでは「ANDON」の名前入りの提灯も下げられるはず。地域と密着したいという思いが伝わってくるエピソードです。
やがて待ちわびていた小野さんがついに到着、トークショーが始まりました。小倉さんから秋田の味噌の特性(大豆に対して麹の割合がとても高い)やお味噌汁が甘いこと、そのために日本酒がさわやか、すなわち「秋田の食文化は快楽を追求する」という独特の発酵トークを聞きます。みんなうなずいていたところ、いつの間にか話し上手な小倉さんから武田さん、小野さんへの質問大会に逆転。「立ち飲みにしたのは椅子が入れられなかったから」「メニューを研究するうちに秋田愛が高まった」などの秘話が引き出され、大いに盛り上がりました。
トークの途中からは小倉さんの娘さんも適宜参加して、会場に明るさを振りまいてくれました。和やかな雰囲気で笑いが絶えない中、「発酵を制したものが飲食を制す」「低血圧と貧血になりがちな都会人こそ、おむすびとみそ汁をキメロ!」などの名言を残して、トークは終了したのでした。
パッケージのデザインを担当したデザイナー、nottuoの鈴木宏平さんは、矢印が印象的なデザインについて、「人々が行き交う様子をあらわした」と説明。会場がうなずき、納得していました。このロゴがついたパッケージは、どんなふうに完成するのでしょうか。とても気になります。
後半はおむすび交流会です。「あなたの好きなおむすびの具材って何ですか?」というみんなで盛り上がれるテーマのもと、参加者が持ち寄った「いちばん好きな」おむすびの具材を、トラ男がつくったANDONのおむすび米でにぎって食べながら交流しました。この日その場で炊き上げたばかりのごはんのかおりはとてもあまく、それだけで満腹になりそうなくらいの満足度です。しかし、ここはおむすびの場、これに具を入れて結びます。
持ち寄られた具は「贅沢すぎるほどに大きな明太子」「男は黙って塩昆布」「まさかのチーズ」など、みんなそれぞれ。楽しく見せあいながら握って食べます。この日、おむすび用のごはんは1人2個分ずつ用意されており、2つ目はメニューに入れる予定の具材が試食用として提供されました。
なお、ANDONで提供予定のおむすびの価格は、1個あたり200円くらい、お味噌汁とのセット(つけあわせは秋田名物「いぶりがっこ」)で500-600円くらいを予定しているそうです。この界隈には飲食店が少ないのですが、大企業のオフィスや新しいマンションがあり、外国人観光客も多いため、それぞれにリーチする価格設定にしたいとのこと。とくに、大企業に勤めながら、この地域のお祭りの日になると繰り出してお神輿を担ぐ「ミコ女」がねらい目との話も飛び出しました。
なお、2階のブックカフェに置く本は、HABの松井さんに依頼し、現在選書中だそうです。「秋田の本」「江戸の本」「食の本」を中心に、誰にでも読みやすいカルチャー本を中心にあつめるとのこと。10人ほどが座布団を敷いて座れる3階のイベントスペースは、当面はANDON主催のイベントが中心になりそうですが、貸出しも可能。仲間とのミーティングやワークショップにおすすめです。
最後に、武田さんと小野さんに、クラウドファンディング終了間近になった、現在の心境を伺いました。
武田さん:おむすびはみんなが楽しめるツールです。身近だからこそ、場をなごませてくれます。派手じゃないけれど、具をつつむようにみんなをつつむもの。「むすぶ」の言葉どおり、この地域と人々を結ぶものにANDONはなっていきたいと思います。
小野さん:この地域では飲食店は簡単に生き残れないといわれています。それでも、需要の高いおむすびのバリエーションや味をしっかり研究し、自分たちにしか見つけられない層を掘り起こして、挑戦していきたいです。コミュニケーションの場としてもしっかり機能して、この地域で暮らしたり働いたりしている新・旧両方の層の橋渡しができれば、と考えています。
武田さんと小野さん、そのほかのスタッフや協力者のみなさんは、おむすびのまわりで、ずっと楽しそうに談笑していました。「おむすびって、どうして人を笑顔にするんだろう」「おむすびをみると楽しくなっちゃう」……そんなふうに思わずにいられない場が、10月19日に東京・小伝馬町に登場します。オープンまであとひといき、これから地域とむすびながら未来を開いていくANDONに、あなたもむすばれてみませんか。
※なお、合同会社合同会社ANDONでは、同時におむすびスタンド ANDONオープニングメンバも募集中です。くわしくは応募フォームをご覧ください(応募締め切りは9月30日)。