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INTERVIEW - 2016.05.17

ファウンダーが緊急来日!復刻レンズで世界の写真家に影響を与えるロモグラフィーのこれまでとこれからについて伺いました。

ロモグラフィーといえば、カメラや写真に興味のある方であればほとんど知らない人がいないのではと思われる程の人気のカメラブランドです。 ​今回、そのロモグラフィーの代表のお2人、サリー・ビバウィー氏とマティアス・フィーグル氏が、今度は何と、ダゲレオタイプのレンズを現代に復刻する『Daguerreotype Achromat Art Lens』のクラウドファンディングの開始と発売に先立って来日!

ロモグラフィーといえば、カメラや写真に興味のある方であればほとんど知らない人がいないのではと思われる程人気のカメラブランドです。なんとそのロモグラフィーの代表のお2人、サリー・ビバウィー氏とマティアス・フィーグル氏が、ダゲレオタイプのレンズを現代に復刻する『Daguerreotype Achromat Art Lens』のクラウドファンディングプロジェクト開始に先立って7年ぶりに来日!デジタル全盛の現代に、デジタルのスマートさと先鋭性を損なわずにアナログな感性を美しく融合させるレンズを数多く手がけてきたロモグラフィー。その最新作は一体どのようなものなのかを伺うべくお2人へのインタビューを敢行致しました!

来日!

ーー サリーとマティアスは今回が初来日と聞きました!日本にようこそ!日本の事がとてもお好きだと伺いました。ちなみに日本のどういう所が特にが好きなんですか?

サリー・ビバウィー(以下サリー): 日本が世界のどことも全く違う、とても特異な文化を持っているからです。思うに、世界中の多くの人が日本をとても愛しているし、特にクリエイティブな人や文化にオープンな人はそうです。日本人や日本企業は、全てのものを他にない独自に発展させようとしている。これは非常に特別な在り方を象徴しているし、尊敬しています。日本人は世界の他の地域の事をよく理解しながら、物事を日本独自の視点で捉えることができると思うからです。そしてこれは多くの人、特にクリエイティブな人々を強く惹きつけます。例えば日本の手工芸や包装を考えても、私はその大ファンなんですけど、とても伝統的であるとともに極めて現代的で、大いに勝っているものなんです…あと、食べ物も大好きですね。

マティアス・フィーグル(以下マティアス): 今回来日してもう寿司を食べて、あとしゃぶしゃぶも。マグロの入ったスープは何だっけ?

サリー: ねぎま鍋ね!?

ーー おお・・・。すごいold traditionalな鍋までご存知なのですね!

サリー:  私たちにとって、もう一つ魅力的なのは日本の人々は写真についてよく教育を受けているし、グラフィックデザインにおいて非常に開かれた心を持っていることです。当初からロモグラフィーは日本人から多くのことを教わってきました。彼らはロモグラフィーをよく理解していました。例えばフランスは、ロモグラフィーを理解するのに非常に長い時間をました。日本が早かったのは、写真の撮り方や意思疎通の仕方も含めて私たちのコミュニケーションやマーケティング、グラフィックデザインが明らかに日本人の感性と合っていたからでしょう。これは間違いなく、日本人が視覚的なものに対して極めて特別なセンスを持っているからだと私は思います。

ーー なるほど、有難うございます。これからクラウドファンディングを行う『Daguerreotype Achromat Art Lens』の布教も今回の来日の目的だと思いますが、クラウドファンディングのご準備は如何でしょうか?

サリー:今ちょうど本国の方でキックスターターの準備を進めていて、色々と動画とかコンテンツとか作っている真っ最中なんですよ。動画が本国の方から上がってきていて、確認の依頼が届いているので、それをお見せできたらおもしろいかもしれませんね。

―― いいですね。それはとても見たいですね。

サリー: 過去のキックスターターでのプロジェクトの経験からも、すべての情報を3分に入れるのは大変難しいことだと感じています。ウィーンを発つ前にすでに2つのバージョンを見てきましたが、これが概ね最終版です

サリー: ところで、今までMotionGalleryで行ったプロジェクトの中で最高額のプロジェクトは幾ら位集まりましたか?

―― おおよそ23万ドルになりますね。

サリー: 今行っているプロジェクトだと『wistiki』というプロジェクトが伸びていますね。鍵とか財布とかにつけるアクセサリーから、場所をスマホで分かるようにするというIOTガジェットね。

マティアス: これは私にぴったりのいい製品だね!

サリー: 彼はいつも物を失くしてるから、私たちはこれを買うべきかも(笑)。

―― 因みに、このwistikiのデザイナーは、フィリップ・スタルクなので、そのデザイン面からも関心が高まっています!

サリー: あのフィリップスタルク!?それは興味深いわね。

マティアス: この製品のアイデア自体は決して珍しいものではないけれど、そういったデザインの側面から、こんなに大きな応援につながっているのかも知れないですね。

マティアス: MotionGalleryはクリエイティブに強いクラウドファンディングサイトだと感じましたが、映画製作支援のプロジェクト内で一番成功したのはどのような作品ですか?

―― 2300万を集めたクジラのドキュメンタリー作品もありますし、アッバス・キアロスタミという有名なイラン人の監督が日本で撮影し、カンヌ国際映画祭のその年のトップ5に選ばれた映画もあります。

マティアス: おお、それは素晴らしいですね。プロジェクトページを見たけどとても魅力的だ。とても才気あふれるイラン人監督ですね。

ロモグラフィー 20年の軌跡

―― ロモグラフィーは、歴史あるレンズの復刻を次々と手掛け、とても大きな影響を写真界に与えていると思いますが、その原動力や成り立ちについて是非教えてください。

サリー: ロモグラフィーは、我々がまだ20歳前後の学生の時だった、91、92年ごろにはじまりました。友人たちによる非営利芸術団体で、私たちは同時にロモグラフィック・ソサイティという小さな団体の長でもありました。

ウィーン大学に行っていた学生だったんですけれども、その頃は東側の体制が変わって、ウィーンではとても特別な時期を過ごしました。鉄のカーテンが崩れた後、突然多くの自由が生まれ、東側に国々と多くの交流が持つことが出来るようになりました。その当時、グループの友人とLC-Aっというロシア製のカメラを見つけ、私たちは日常を記録するのにこのカメラを使いました。今では誰もが携帯や簡単なデジタルカメラで、日常を記録していますが、その頃はそれは全く普通のことではありませんでした。誰も毎日カメラを持ち歩いたりしませんでした。人々は旅行とかイベントとかパーティーとか家族行事の時にはカメラをもって行きますが、職場への道中にカメラを持っている人はいませんでした。だから、日々を記録するという行為はその当時は、大変新しいアプローチでした。

そのLC-Aというカメラを持ち歩いて、毎日を撮るという行動が色んな方に共感してもらえたことによって、まずはヨーロッパ諸国や、様々なところから「是非そのLC-Aというカメラを売って欲しい」という依頼を多く受けるようになりました。新しいライフスタイルとして、カメラを持ち歩いて色んなところに行って、日々を撮影して楽しもうというのが我々の元々の気持ちだったため、初めはちゃんとした会社にはなっていませんでした。その過程で、Lomo Wallという印画紙に印刷した写真を壁にたくさん貼り付ける独自の展示方法を始めたんですね。それがとてもインパクトがあって、一気に我々の活動は知られることになりました。さらにプラスアルファで我々が掲げたのがTen Golden Rules。この10項目はLomographyのコアとなる部分です。とにかく色んなところから撮影して、お尻から撮影していくとか、上から撮影していくとかファインダーなんか覗くな!という、ルールなんて何もないから楽しんでみたらっていう気持ちがで作りました。それがいろんな方に共感してもらってどんどんLomographyがLC-Aと共に広まって行きました。

しかしその後、LC-Aを作っていたロシアの会社が生産ストップせざるをえない状況となり、色んな工場に赴いてLC-Aを作り続けるため生産してくれる場所を探しました。その結果、生産を継続することができるようになり、さらに機能を追加して、LC-A+としていろんな国で発売しました。そこからは自分たちの独自の製品や、復刻商品も発表していきました。お手頃価格で楽しめるカメラや高級機と言われるコンパクトカメラ、中判フォーマットのカメラ、そしてアクセサリー類を発表しました。2013年からは、『Lomography Petzval 85 Art Lens』を筆頭に、レンズカテゴリーも新たに展開を始めました。

ロモグラフィーが今注力しているコンセプト

―― レンズの開発に至るまでにそのような経緯があったのですね。因みにオールドレンズを現代に復刻させようとする情熱はどこから来ているのですか?

マティアス: 私たちにとって「アナログ」は、ロモグラフィーを理解し体感する重要な要素の一つだと考えていますが、それだけに拘っている訳ではありません。もちろん大手メーカーだと、ピント合わせ、ボケ調節、しぼり設定など細かい部分まで便利で、機能もほぼ全てオートマチックです。しかし私たちロモグラフィーはマニュアルのレンズを使うことで、写真の過程を楽しむことをすごく重視しています。写真の表現を左右するのは撮影する人がどのようにクリエイティビティを発揮できるか、そしてそれを大きく左右するのはやはりレンズではないかと思っています。撮影している側の行動を変えるレンズ作りを意識することで、撮っている側の気持ちであったり、行動パターンであったり、普段とは全く異なるクリエイティブな部分を引き出せること。それが私たちにとって変わったマニュアルレンズを開発する意味であり、使命だと考えます。これは、アナログ写真とすごく通じています。実験的でクリエイティブにならなきゃいけない。自分で考えて撮影しなきゃいけない。自分のことを理解する必要もあり、レンズの事も知る必要がある。こういった「学んでいく過程」がすごく大事だと思っているんです。だから、レンズ、中でも面白いレンズ、歴史的に意味のあるレンズ、興味深いストーリーがあるレンズを発表することに、現在注力しています。


Daguerreotype Achromat Art Lensで撮影

サリー: 私たちは今4つの製品ラインアップを軸に事業を行っています。まず初めにフィルムとアナログカメラ。私たちは、ロモグラフィーブランドのフィルム・アナログカメラ開発のため、パートナー企業と一緒に協力をしながら製品化しています。自分たちのアイデアを彼等に共有し、信頼関係を築き、パートナーとして生産を依頼しています。次にインスタントカメラ。これは最も新しい製品カテゴリーですが、今ではLomographyにとって主要な製品とも言えます。最後にレンズ。私たちは過去2年間、Lomography Art Lens シリーズに多くの時間を費やしてきました。最初は不安なことばかりでしたが、今では非常に強みとなっています。レンズ開発においては、アナログに限らず、いくつかの異なる方向性があります。私たちは常にアナログ写真について取り組んできました。これはロモグラフィーにとって今も大切です。しかし私たちは原理主義ではありません。デジタルカメラで撮影された素晴らしい写真も存在します。ただ方法が違うだけです。私たちはあらゆるものに対してオープンな考えを持っています。私たちはアナログ写真の価値を理解していますが、同時にデジタル写真のクリエイティブな可能性についても多くのアイデアを持っています。アナログであれ、デジタルであれ、先ほどもお伝えした通りレンズには写真表現に大きく貢献します。写真に大きな影響を与えるのはデジタルかアナログかではなく、ピンボケでもなく、ユーザーインターフェースでもなくレンズです。みんなカメラのボディを小さくしたタフにしたり、あるいは10枚連写の中から自動的にベストショットを選んでくれたり、顔認識機能だったり、たくさんの機能に力を注ぎます。これらは全て素晴らしく、興味深いけれども、最大の影響はレンズ本体から来ます。そのため、私たちはレンズにフォーカスし、さらなる可能性を探求しています。

世の中には様々なレンズが存在します。そして、特に日本はそうですが、レンズに興味を持つ人が大勢います。私たちの友人のミスター・スズキ(鈴木文彦さん:カメラ、レンズをメインに務めるフリーランスエディター)に昨日会いました。彼は『レンズの時間 1/2』という2冊の雑誌を手掛けているのですが、面白い事にその内容はすべてマニュアルレンズについてなんです。現代のシグマやタムロン、キヤノン、ニコンといった新しいレンズには言及しておらず、ライカなど、マニュアルの中古レンズや新しいレンズだけ。ロモグラフィーのLomography Art Lensシリーズもその中で紹介されています。このような本が発売できる環境こそが、日本のユーザーがどれだけカメラ、レンズ、そして写真への理解があるかを物語っています。例えば『Lomography Petzval 85 Art Lens』。このレンズはクリエイティブな人々から「面白いレンズだ」という評判を聞きます。もしあなたが広告写真家だったら、新しい作品を作りたいと願い、あなたはいつも新しい写真表現を探すでしょう。同じ写りだけではなく、新しい表現方法探す。そして新しいレンズが出たらすぐに「試してみよう」となります。また、『Lomography Petzval 85 Art Lens』を試している映画制作会社もたくさんある。私たちはそうした活動を知っていて、最も高いレベルのクリエイターたちに支持されていることを誇りに思います。『Lomography Petzval 85 Art Petzval Lens』のスタイルは産業にとってもクリエイティブな写真家にとっても新しいのです。


Lomography Portrait Petzval Lens

ーー 最近では、デジタルカメラにオートレンズを装着して撮影するのは一般的となりましたが、ロモグラフィーのレンズ使うことでマニュアル操作になり、プロセスがクリエイティブになるというお話がとっても面白いなと思います。フィルムで写真を撮るときのマインドと、デジタルだと全然違うじゃないですか。それがよみがえるのがとても実感できます。

サリー:  これは私たちにとって非常に重要で、なぜならマニュアルレンズは完全なアナログ製品だからです。ロモグラフィーにとって最も重要なことは、継続的にアナログやフィルムカメラについて教育し、後世に伝えていくことだと考えています。フィルムカメラやアナログカメラは撮影する側に、写真の原理や、写真になるまでのプロセスを理解することを求めます。デジタルのように。写して終わり、とはいきません。アナログな手法で撮影するということは、本当にプロセスにマインドと、気持ちを費やすことであり、コミュニケーションを取ることであり、物事を試してみることです。これはロモグラフィーにとって不可欠なもの。アナログフィルム、カメラを実際に使う人が減少する中、私たちは写真を撮影する時のこの姿勢であったり、理解を若い世代に伝えていくことが大きな責任であると感じています。

タゲレオタイプのレンズのリリースに込めた想い

―― 今回のプロジェクトについての質問に入りますが、なぜダゲレオタイプを復刻しようと思われたのですか。なぜ他のレンズではなく、このレンズに挑戦したのでしょうか?

サリー: 製品開発の過程で、私たちはいつも色々なアイデアを出し合います。また、新しい製品へのアイデアを常に集めています。あるものはコンセプトがはっきりしていて製品として強みがあり、ユーザーに一日でも早く届けたい。また、あるものは、1年くらい温めておいて、何か月後、何年後にまた活用することもあります。他には、Daguerreotype Achromat Art Lensのように、歴史的背景からインスパイアされ、製品となるものもあります。でも私たちがいい製品だと考える上で一番大切だと考えるのは、ユーザーのために高いクリエイテウィビティの可能性を持っていることです。例えば、Daguerreotype Achromat Art Lensの柔らかいイメージのように。これは多くの人が好むもので、写真に特別な雰囲気を与えています。一方それは、写真の歴史のなかでもっとも古いレンズから再びつくられたものですから、シンプルでいて、且つ特別な構造を持ちます。プロジェクト上の紹介ビデオにもあった通り、この白黒のパリ市街の写真が人間を写した最初の写真だと言われています。そしてこれは、まさにこのレンズのオリジナルで撮影されたのです。多様性や品質、そして背景にあるストーリーを理解すればするほど、この光学技術は非常に興味深いものです。このレンズは、絞り値を絞った時には、とてもシャープで美しい写真が撮れます。反対に開放にすれば、水彩画のように柔らかく、全く異なる描写が撮影できる。そしてとても特別ないいボケが出る。これは現代のレンズとは異なる特徴です。私たちにとって、古いレンズを試みたときの大きな衝撃でした。本当に光学的にも非常に完璧なもの。この発見を広めたいとの想いを強く感じました。

Lomography Art Lens シリーズは、一つのアプローチとして「歴史的コンセプトを見出す」ということを行っています。全く新しいレンズの特性を開発するのも素晴らしいと思いますが、これまで写真史における重要な役割を果たした、貴重なレンズの数多くは時の流れと共に忘れ去られてしまっています。そこで私たちは、歴史的に大きなインパクトがあったレンズ復刻に挑戦してみようと考えました。それがDaguerreotype Achromatレンズでした。

もちろん、これらを再生産することは決して容易ではありませんでした。歴史的なレンズのほとんどは大判レンズで、現在の規格マウントに合わせるためには光学を再計算しなければなりませんでした。その為、全く同じ効果やクオリティーを引き出すのは大変困難で、一筋縄ではいきませんでした。


Daguerreotype Achromat Art Lensで撮影

―― 今回のプロジェクトで製作する『Daguerreotype Achromat Art Lens』で今まで以上に提案したい視座などはありますか?タゲレオというワードそのものが持つ魔力は写真家の方々だけでなく、映画などの映像に取り組んでいる方にも魔力的な響きを持っているものだと思っているので、その視点も是非教えて下さい。

サリー:  創設当初から、私たちはただ製品を通じてユーザーにクリエイティビティを触発するキッカケを与えることを目的としてきました。それは、例えばあなたが何かを最初に蹴ればそれが勝手に転がっていくように、人々は実験し試行錯誤することで、はじめて素晴らしい成果が得られるのです。私たちは人々に、決まったルールや、手法、こういうやり方でないといけない!などとは決して言いません。なぜなら、私たちはどんな素晴らしいものができるかをユーザーから学び、体感したいと思っているからですそしてユーザーの一人一人の個性がありとても魅力的で、自分たちのアイデアを発展させ始めると信じています。

また、映像に関しては私たちにとっては新しい分野ですが、現在レンズやフィルムでどんどん映像このコミュニティーにも参入しています。実際、既に著名な監督が私たちのレンズを、現在製作中のハリウッドの大作映画に使用される事になっています!ちなみにこの前のジュラシックパークの映画では、劇中にDianaというLomography製カメラが映画内に登場しました。

このように、映像の分野では、これから更に利用者の方々と密にコミュニケーションをとっていき、そのコミュニティーからのフィードバックをどんどん次に活かして行かなくては行けないなと思います。新しいアイデアを発展させることでロモグラフィーはこれまで成長を続けて来ました。新しい試みという意味では、MotionGalleryのようなサイトは私たちにとても大切です。マーケティングという観点だけでなく、早い段階で興味を持ってもらえそうなユーザーとコミュニケーションを取ることができるからです。ユーザーからは意見や提案を頂けるし、逆に私達からは何故いまこのレンズに取り組もうとしているのかを説明出来る。そんな場所がとても大切です。

クラウドファンディングを成功に導く5つの要因とは

―― これまでクラウドファンディング何度か経験されて、よかったことや成功の要因を教えてください。また、今回はどのような人にどういった出会いを期待しているかを教えて下さい。

サリー: 難しい質問ですね。成功の要因という意味で敢えて言えば、過剰に期待しないという事だと思います。もしあなたが幸運で成功したとしても、過剰に期待しないこと、成功が当たり前だと思わないことを学ぶべきです実際に成功で終わるかどうかは私たちでコントロール出来ることの外にあります。私たちはただ、今までの事を語ることしかできないと考えています。私たちは多くの期待はもちませんが、今回も目標に到達し、成功できることを願っています。

そして、私たちは、MotionGalleryやキックスターターという素晴らしいプラットフォームに集まっている、審美眼の鋭い人たちの眼鏡にかなうメーカーであることを大変誇りに思っています。なぜなら、クリエイティビティを理解していると見なされていると感じることができ、これはすでに私たちにとって非常に嬉しいフィードバックだからです。これはMotionGalleryやキックスターターにクリエイティブな人々が集まっているからこそ出来る事です。会員の方々は高い期待を持っているのではないでしょうか。クラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げる際、使い古された様なコンセプトの製品は批判もされます。会員の方々は新しいものに高い基準を期待していると感じます。これは、非常に高いレベルの顧客だと考え、私達にとってはロモグラフィーがそういった方々が面白いと思ってもらえるようなプロジェクトを継続的に展開できていることは、とてもいいフィードバックです。ロモグラフィーはインディーズブランドかもしれませんが、既に25年の歴史がありもう新しくはありません。しかし、私たちの歴史の中で、常にこうしたクリエイティブなコミュニティーに大きな関心を持ってきました。

ーー つまり、成功した理由としてロモグラフィー、そしてクラウドファンディングというプラットフォームがクリエイティブなコミュニティーであるということだと思うのですが、クラウドファンディングに成功した理由で直感的に思う部分がもしあれば教えて下さい。

マティアス: いくつか理由はあると思います。
第1にとても魅力的な製品である事。『Lomography Petzval 85 Art Lens』のように機能面から見ても、新しいものですが、こういった魅力的で面白い製品をプロジェクトとして立ち上げてきました。

第2に、ロモグラフィーへの信頼。
私たちは新規参入ではない。これは私が思うにとてもに重要です。私達はまだアンダーグラウンドでクレイジーな会社です。ロモグラフィーのブランドを理解している人たちから見たら、全く知らないスタートアップ企業とは違い、ある一定の信頼と期待を持って頂いています。こういった要因が、成功に至った一つの理由だと思います。残念ながらクラウドファンディングは失敗に終わるプロジェクトも多い。人々は期待を持って、ブランドやプロダクト、そしてサービスに対して投資をしたものの、その代価が得られない時もあります。ロモグラフィーは私たちが提示したスケジュールを守るため、あらゆる努力を行っています。もちろん生産国の政治的な状況、経済的な状況によって予期せぬ出来事が起こることもありますが、私たちの製品に期待をもって支援してくれた方々に責任をもって届けています。これはとても重要だと考えます。

サリー: そして思うに、
第3は、ロモグラフィがインディペンデントでクリエイティブである事が、クラウドファンディングの本質的な意義とマッチしているという点だと思います。
資金を本質的に必要としない、そして新しいチャレンジの無い大企業の製品は、本質的にはクラウドファンディングに合わないもの。私たちは既に一ブランドであるとともに、応援は不要と人々が思えるくらいには、大きくなっていない。私たちはいつもユーザーと共に成長しています。

第4は、私たちが大変重視しているマーケティングへのコミットメントです。私たちを応援する世界中のコミュニティーには、新しい製品ローンチや、こういった新しい試みがある度にニュースレターを送って情報を共有、拡散できるよう努めています。特にクラウドファンディング中、私たちは広報に力を注いでいます。なぜならこれが、本当に大切であると考えているからです。

購入者の3分の1は現在のロモグラファーですが、3分の2については新しい人からの応援です。記事や大きなテクノロジー系のブログを見た人が購入している事もあると思います。こういったロモグラフィー以外のコミュニティーへの情報周知は欠かせません。

そして第5の理由ですが、私たちはあらゆる値引きについて通常非常に厳格です。
私たちは値引きをほとんど行いません。私たちのHPで値引きを行う事は非常に珍しいです。しかしクラウドファンディングに参加すれば、正式発表前の製品を誰よりも早く受け取ることができ、さらに通常販売予定価格よりも割り引かれた価格で製品を手にすることができるます。これは支援者側からは魅力的なのではないでしょうか。

ーー では最後に、日本のファンと、これから応援しようと考えている方々に向けてメッセージを!

サリー: 最初に、このプロジェクトを進めるにあたってMotionGalleryとパートナーとしてプロジェクト化できたことをとても嬉しく思います。日本からはたくさんの素晴らしい写真が届いていますが、このプロジェクトが成功に進めば、もっと多くの写真が集まると思っていて今からすでに楽しみにしています。

マティアス: 私たちは…今回信頼できる新しい日本のプラットフォームMotionGalleryでプロジェクトを行えてとても嬉しく思います。ありがとう!また、とってもプロフェッショナルで強力なMotionGalleryの創設者・大高氏と出会えたのも嬉しいです。クラウドファンディングは実際、アイデアを集めるにもとてもいい方法です。私たちは支援者からのフィードバックを見るのを興味深く観察しています。日本は私たちにとっても特別な国であり、たくさんの経験をさせてくれます。日本なしでロモグラフィーを想像することはできません!これからも引き続き、日本の皆さんにはロモグラフィーの製品を使い続け、その創造的考えや思いを形にしていって欲しいです。

ーーありがとうございました!


この記事を書いた人

MotionGallery編集部

MotionGallery編集部です。

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